No.015
[ 曇 天 ]


Scene05


夜になる。

父にライト。


その夜、ギクシャクしながらも、久しぶりにみんなでご飯を食べた。 俊雄がつくったハンバーグはあまりおいしくはなかったが、それでも誰も文句は言わなかった。
オレはハンバーグを食べながら、和夫の好物だった事を思い出した。かなり無茶な提案だと思ったが、和夫も朝子も、なぜか帰るとは言わなかった。 それから3日が過ぎ、みんな次第に家族交換に慣れてきているようだった。
そうしてオレは、望ちゃんに報告をしたくて、スナック葵にやってきた。

スナック葵。

ママ
あら咲ちゃん、またまたぶりぶり、だっぷんだ。


ママ、それ何にもかかってないよ。

ママ
あらそうかしら。


今日、望ちゃんは?

ママ
あらあたしじゃご不満?


いやね、住み込みって言ってたから。毎日いるのかと思ってね。

ママ
えぇ、そうなんだけど、今日は娘ちゃんが熱を出して看病してるのよ。


娘?

ママ
あら、それはまだ聞いていなかったの?私要らないこと言っちゃったかしら。


いや別に、変な気持ちはないから。

ママ
そぉ?でも、似てるんでしょ?お知り合いさんに。


え?あぁ。

ママ
ねぇ、それって、亡くなった奥さんでしょ。


------あぁ、良く分かったねぇ。

ママ
わかるわよ。咲ちゃんの好きな人の話なんて、奥さんしか聞いたことないもの。 ねぇ、本当に変な気おこさないの?


いやぁ、なんか、懐かしい感じがするんだよ。ずっと、かや子の事は、考えないようにし ていたし、それにもう、10年も前の事だからねぇ。

ママ
懐かしいねぇ。


あぁ、若いときのかや子にそっくりだよ。

ママ
そう、良かったわね。でも今日はあたしでおあいにく様。


また、そういう事言わないでよ。

ママ
はいはい。


今日はゆっくり飲んでいくからさ。

ママ
そう、ありがと。そう言えば咲ちゃんもう体調の方はいいの?


え?

ママ
来なくなる前に、少し調子が悪いみたいなこと言ってたじゃない。


あぁ、もう、すっかり大丈夫さ。だからこうして飲みにも来れるんだから。

ママ
なら良かったわ。何だか前より顔色良いもんね。今日はいっぱい飲んでってちょうだいね。


あぁ、喜んで。

と歓談が続く。

ゆっくりと暗転。

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