No.013
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Scene05
スナック葵


めぐとしずくが話している。

しずく
いいなぁ、愛し愛されるって。

めぐ
しずちゃん、作ればいいのに。キレイだからいくらでも引っかかるでしょ?

しずく
客なら腐るほど引っかけてきたけどねぇ。

めぐ
さすがっ!

しずく
でもなぁ、なんだかね。

めぐ
何?

しずく
結局、幼稚で、バカでしょ?オトコって。

めぐ
こないだそこがカワイイって言ってなかった?

しずく
あんなのは客の前だけ。実際はうんざり。

めぐ
オトコの人嫌い?

しずく
ずっと水商売してきてさ、見てるとヤんなっちゃうよ。

めぐ
しずちゃん、この店以外にもやってたの?

しずく
はじめはキャバから始まってー、クラブやラウンジ転々としてたけど、私全部のお店でNo.1取ってたんだよ。

めぐ
すっごーい。

しずく
そんなのその気になれば簡単なの。相手に合わせてアホな女の子装ったり、その気があるふりしたり。 オトコが女に対して魅力を感じるパターンってだいたい結構決まってんのよ。

めぐ
へぇー、何か深ーい!

しずく
ま、一番大切なのは、演技力だけどね。

めぐ
ほほぉ。勉強になりまーす。

しずく
そんなの知ったところで、何にもいいことないけどね。

めぐ
でも、思い通りになったらちょっと楽しそう。

しずく
まぁ、お金いっぱい使わせて毎日豪遊して、それなりに楽しかったけど、------それも飽きちゃったんだよね。

めぐ
それで、今のここでバイトしてんの?

しずく
そうそう、気楽だし。

めぐ
へぇすごーい。

しずく
でもめぐちゃんならこんなちっぽけな店じゃなくて、他行っても結構稼げると思うよ〜。
入院してる彼氏の為にも、稼がなくちゃ。

めぐ
えー、いーよー。

しずく
別に変なトコじゃなくてさー。あ、私紹介するよ?

めぐ
いいの。私この店が好きだから。

しずく
ねぇ、めぐちゃんてどうやってこの店知ったの?

めぐ
え?何となく見かけて。

しずく
こんなちっちゃなビルの3Fを?

めぐ
あと、一応目的があるの。

しずく
目的?

めぐ
うん。この店にいれば会える人がいるから。

しずく
何?お客さん?あ、それじゃ、浮気かぁ?

めぐ
そんなんじゃないけど。

そこに千恵子ママが現れる。

ママ
ねぇねぇ、マキちゃんまだ来ないのかしら?

めぐ
さっき電話あったんで、もうすぐだと思います〜。

ママ
ねぇしずちゃん、マキちゃんどうかしたの?

しずく
さぁ。彼氏ンところでも行ってたんじゃないですか?

ママ
え?なによ彼氏って?もぉ。いつの間に作っちゃったのかしら。

めぐ
そうなの?

しずく
知らない。多分ね。

ママ
今日ね、お得意様が来るのよぉ。

しずく
誰?

ママ
ほらぁ、ハヤシローンって金融会社の社長さん!

しずく
あー天さん!

めぐ
誰それ?

しずく
めぐちゃん、まだ知らないかぁ。結構お金持っててちょっと変な人。

めぐ
ふーん。

ママ
それじゃ、わたし迎えに行ってくるからよろしくね!

ママ、出て行く。

体操座りの助六。

そこへブービーが現れる。


ブービー
きゃん!!ややや、やめろよぉもお。

助六
なんだよ「きゃん」て。

ブービー
スケロックが驚かすからだろぉ。あぁもう、贅肉飛び出るかと思った・・・。あ、それならいいか。

助六
オレさ、3ヶ月も前から入院してるみたいなんだ。屋台はもうないし、右手は重症、一体どうなってるんだよ。

ブービー
そう言われてもよぉ、オレも何でこうなってるのか、わからねぇからなぁ。

助六
いつから、お前はこうしてるんだ?

ブービー
んー、それが、何ヶ月も前からのような、昨日からのような、よくわかんねぇんだよ。

助六
なんだよそれ。ふざけてんのか?

ブービー
スケロックもそのうちわかるさ。オレたちみたいにカラダから抜け出ちまう、たぶん、時間が流れなくなるんだ。

助六
時間?

ブービー
イエス!毎日勝手に時間が過ぎていって気づいたら何日も経ってんだ。
それでもオレは全然時間が過ぎた感じがしない。腹も減らないし、飯も食えない。でも太ったりも痩せたりもしない。

助六
太らないなら良かったじゃねぇか?

ブービー
いいか?全然変化のない今しかないんだぜ。これじゃ全く・・・

助六
生きてる気がしない?

ブービー
スケロック、「生きてる」ってのは、その「時間」を過ごしていく事だと思うんだYO。

助六
確かに、そうかもな----お前、ホントにブービーか?

ブービー
ヘイヘイ、オレだって自分の状況イロイロ考えてんだぜ。

助六
そうか、一応先輩だもんな。

ブービー
へへ、お前も頑張って早く太れよ。

助六
そこ見習いたくねぇよ。

ブービー
わっと?

助六
ブービー、お前幽霊なんかじゃねぇよ。そんな人間くせぇ幽霊なんておかしいだろ。

ブービー
スケロック・・・。

助六
オレがこのカラダに戻ったら、お前のカラダ探してやるよ。

ブービー
探すったって、ドコをだよ?

助六
別の病院で寝てたりすんじゃないか?

ブービー
ほわい?ナゼオレは別の病院なんだ?

助六
今のご時世、救急車で運ばれても、医者不足で病院たらい回しにされるっていうじゃん。あ、妊婦と間違われてたりして。

ブービー
これのせいか?!(腹をさする)

助六
それで、その途中でお前の魂おっこちたんじゃねぇのか?

ブービー
そうか!だから、オレのカラダ見つからねぇのか?

助六
そうそう。

ブービー
わぉ、オレにホープが沸いてきたぜ!スケロック、早くカラダに戻って探してくれよ!!

助六
おっと、それが出来ないんだった。

ブービー
ほわい?何か戻れない理由があるのか?

助六
理由って言うか--------イマイチ状況わかんねぇし、それに屋台や右手も----

ブービー
そんな事気にしてるのか?

助六
だって、そりゃオレの全てだ。屋台やオレのラーメンを作る腕ってのは。

ブービー
ヘイヘイヘイ、生きてりゃまたマネーは稼げる、右手がダメなら左手がある、違うか?

助六
--------そうだな。お前の言うとおりだな。オレ、今までそんな風に考えられなかったよ。

ブービー
ヘイヘイ、ネガティブはノノノーだぜ。レッツポジティブシンキーング!

助六
ブービー、何となくだけど、カラダに戻っちまえば、何とかなりそうな気がしてきたよ。でもさ-------

ブービー
わっと?まだ何かあるのかよ??

助六
--------マキちゃんの事が、ちょっと、気になるんだ。

ブービー
OKベイベ。じゃあ、彼女の今を見てきたらどうだYO?

助六
え?見てくるって?

ブービー
まだ出てったばっかりだろ、追っかけるんだよ。

助六
そんな、後を付けて、見つかったら、

ブービー
ヘイヘイ、オレたち今どんな状態なんだ?

助六
あ、そうか。

ブービー
思いついたらたら即行動!これがブービー流のポジティブシンキングよ。

助六
ブービー、オレ、いつかお前にラーメン食わせてやるからな!

ブービー
頼むぜスケロック。お前はオレのホープだYO!

助六
じゃ、オレ行って来るわ。

ブービー
頼むぜスケロック!

部屋を出る助六とブービー。

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