No.011
[始マリノ終ワリ]


Episode01
Dream

夢詩人=空が求める本当の夢。


木村
ねぇ、それどうなのヨォ?明らかに軽犯罪の匂いするヨォ。


いいんですよ。女の子達も彼らに渡ってると思えば気が済むわけですから。選手の子達もなんとなくわかってたと思いますから。

木村
ちゃんとわかってないのかヨォ。


僕、選手と顔合わせるわけじゃないですから。非公式なマネージャーですし。

木村
おいおいますますおかしいヨォ。それって勝手にもらってたんじゃんかヨォ。


まぁ、僕的には真のマネージャーを名乗っていたんですけどね。

木村
勝手に名乗るなヨォ。ソラくん、妙に要領いいんだヨォ。人に憎まれない体質っていうかヨォ。


そうですか?ありがとうございます。

木村
別にほめてないけどヨォ。そういうとこずるいヨォ。


僕案外、要領って言うか人当たりがいいんですよねぇ。それで何かと敵を作らないって言うか、なんていうか、争いに巻き込まれないって言うか。そんな感じで。

木村
自分でわかってるところが余計ずるいヨォ。


すす、すいません。

木村
じゃあヨォ、ソラくん、芸術面で何か好きなこととかないのかヨォ?せっかくフリーターなんだし、ちょっとした趣味にパッション向けるのもいいんじゃないヨォ?


・・・・・。(お前が言うか?みたいなまなざし)

木村
あ、なに今の?お前が言うみたな目でみたヨォ?


いや、そんな。

木村
そりゃヨォ、オレだって、バイトも趣味もイロイロ今までにやってきたんだヨォ、それでも、なんだか全部うまくできなくてヨォ、それで一番うまくできたのがヨォ、


コンビニ弁当あっためることだったんですか?

木村
そうだヨォ!オレのチンの具合って絶妙だろぉがヨォ。牛丼、パスタに幕の内、コンマ1秒の微調整!おばあちゃんにはちょっとぬるめ!お兄さんにはちょっと熱め!お嬢さんにはオレの愛を!いや、お嬢さんはオレに愛を!ぎーぶみぃ、ゆあ、らーぶ!!だヨォ。


木村先輩、熱すぎます。ドン引きですよ。

木村
ソラくんが僕のパッションにふれるからだヨォ。


すっすす、すいません。

木村
でも、コレがパッションってヤツなんだヨォ。ソラくんもこれくらい熱くなれるモノを見つけるといいだヨォ。


そうですねぇ。僕、頑張ります。

木村
よし、まずはソラくん、名前を変えるといいだヨォ。


え?どうしてですか?

木村
こう、何かこう、新しい事するなら、別の名前とかあってもいいと思うんだよね。今までの自分とは違う自分を見つけるために、別の名前とか名乗っちゃうんだヨォ。

空にサス。


僕の名前の空は、松尾芭蕉の弟子の河合曾良から来ている。父親は俳句やら短歌やらが好きな人で、せっかく名字が河井なのだから、とそのまま僕に空と名前をつけた。まぁ名字も名前も字は違うけど。だから僕は名字が松尾だったら芭蕉で、正岡なら子規、ピーターだったらパンだったのだろう。
でも、自分の名前はあまり好きじゃない。小さな頃から女の子みたいだと自分では思っていた。だからソラではなく、別の名前をペンネームにしようと思う。ペンネームという言い方は何だがカッコ悪いな、えーと、だから、まぁいいや。ペンネームだ、やっぱり。

と全体に明かり。


ペンネームってやつですか?

木村
だせぇ言い方すんなだヨォ。。


え?やっぱり他にあります?

木村
・・・・源氏名?


別に僕、ホストとかになるわけじゃないですから。

木村
ハンドルネーム?


ネットじゃないですから。

木村
でも他に言い方あるかだヨォ?


あ!ジャッカルとかどうですか?

木村
なな、なんでジャッカルだヨォ。?


いや、意味とかないんですけど、殺し屋みたいでかっこよくないですか。

木村
ソラくん殺し屋になりたいのかヨォ?


え?なれますか?

木村
いや、無理だと思うけどヨォ。そもそも、そんな生き甲斐、嫌だヨォ。


ですよね。

木村
とりあえずウンコタメ蔵とかヨォ。


いやですよ、なんでとりあえずウンコなんですか!

木村
じゃ、空太郎とかヨォ。


あんまりかわってないじゃないですか。

木村
ソラタローンとかヨォ。


僕、ナニジンすか。

木村
もういいじゃんヨォ、空でヨォ。結構変わった名前なんだし、おもしろいヨォ。


先輩が僕に名前変えろって言ったんじゃないですか。

木村
じゃあさ、フルネームじゃなくて、「空」一字だけにしてみたら?ちょっと違うんじゃないかヨォ?


はぁ、じゃあとりあえずそうしときます。それで、僕は何をすればいいんですかねぇ?

木村
んー、何でもやっちまいなヨォ。思いつく事をさ。アーティストだろ。


アーティスト!いいですねぇ。そう言えば、僕のじいちゃんも芸達者だったんですよぉ。

木村
へぇ、どんなおじいさんだったの?


絵に歌に詩をやっていたそうです。

木村
すっごい人だなぁ。じゃあ君も全部やっちまいなヨォ。


まじすか?

木村
OK!じゃあまずは絵だよ、絵画だヨォ、ぴーくちゅあーだヨォ!!

木村が奏でるBGM。
道具を持ってくる黒子さんたち。
さらさらと自画像を描きあげる空。
「空」のサイン付。



どうですか?

木村
ん〜なかなかいい感じだヨォ。意外に結構似てるヨォ。


ほんとっすかぁ?なんかちょっと嬉しいなぁ。

木村
はい次!!歌だヨォ、しんぐあ、そぉーんぐだヨォ!

木村が奏でるBGM。
ウクレレを持ってくる黒子さんたち。
そこで1曲。「ほくろの歌」


木村
すごいヨォ、なんだかすごい独創的だヨォ。いつの間にそんな曲を創ってたんだヨォ。


いやぁ、普段から思ってることを歌にしただけですよ。

木村
普段から何考えてんだヨォ。ってか何でウクレレなんだヨォ。


じいちゃんの形見なんですヨォ。

木村
真似するなヨォ。


すっすす、すみません。

木村
んじゃ次!詩だヨォ、ぽえーむだヨォ!!

木村が奏でるBGM。
紙とペンを持ってくる黒子さんたち。
そこでしたためる木村先輩への詩。


木村
空くん、キミ才能あるヨォ。案外多才だヨォ。


ホントっすか?

木村
どんどんやるといいヨォ。毎日続けるといいヨォ。


はい、とりあえず、やってみます。なんか、おもしろいし。

木村
そうだヨォ、おもしろいと思えるウチにどんどんやるといいヨォ。僕みたいになる前に。


え?先輩・・・。

空にサス。


それから僕は絵を描き、歌を歌い、詩を描いた。時々、公園や駅にいってはそれらをやってみた。意外と、喜ばれることもあって、僕は生きがいを感じた。だんだん楽しくなってきた。でもちょっと、先輩が言った「僕みたいになる前に」という言葉が耳から離れなかった。先輩は、何を思って僕を応援してくれたんだろうか?先輩は、自分を応援してくれる人がほしかったんじゃないだろうか。僕にはそう思えた。
それで、僕は先輩に向けての詩や歌を作って、2週間後にバイト先のコンビニにそれを届けにいった。でも、その前日、先輩はバイトを辞めていた。10年もやっていたバイトを。そして先輩は、1通の詩のうな手紙を、僕に残していった。

と、木村が現れる。

木村
土にはミミズがいる。木にはクワガタがいる。水にはミジンコがいる。そして、オレの脳みそにはウジムシがいたんだヨォ・・・!

と、木村が消える。


先輩が、元気でいる事を僕は願っている。でも何だか、良くも悪くも、何かに気づくって、大事な事だから、先輩の脳みそにウジムシがいる事に気づいたっていうのはいい事だと思う。僕は、絵や歌や詩が好きなのかどうか正直わからない。更にコレが仕事にならないのはわかってる。でも、今の僕が本当に好きな事はわからないし、「まぁやってもいい仕事」とか「楽しみが見つかる仕事」とか「金銭的に満足させてくれる仕事」が何かわからないので、それを見つける為に、僕は絵や歌や詩を続けようと思う。

----暗転。




【気づく事】




【まずは】



【そこから始まるんだと思う】





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