No.011
[始マリノ終ワリ]


Episode00
Days

彼らは彼らの人生を生きる。今日も明日も明後日も。しかしそれはいつ終わるかわからない。


夜。
詩人空が座わり、鼻歌(マイウェイ)歌いながら、自分の作品を満足げに見ている。
数編読み上げ、批評している。

とそこへ、サラリーマン風の男がやってくる。
男は少し酔っぱらっている。



君、何してんの?


・・・え?


1人でぶつぶついって、何だか君、ちょっとキモイよ。


は?


ちょっと、というより結構。


別に、詩を見返してただけですけど。あ、昨日の?


え?昨日?


ガーベラを2本買いましたよね?ハッピーフラワーで。


買いましたけど、どうして?


僕、店員です。あの店の。覚えてませんか?


いや、君の事は覚えてないけど、ガーベラは確かに買いました。覚えてるんですか?客の事を全部。


いえ、たまたまなんですけど。


そうなんだ・・・。たまたまね。キミ、詩ぃ書くの?


あ、えぇ、まぁ。


へぇ、カッコイイ。詩人なんだ。


え?はい、まだ始めたばかりですけど。(詩を見せる)


はぁ・・・結構、個性的ですね。良かったら、是非私にも一枚書いてくださいよ。お金なら払いますから。


え?いいですけど。でも、お金なんていいですから。


欲しいでしょ?


まぁ、欲しいですけど。


じゃあ私が感動して、今持っているお金を全部差し上げてもいい、と思わせるモノ書いてみてくださいよ。


え?そんなプレッシャーやめてくださいよ。じゃあ、ちょっと待ってください。


はいはい。ものすごい期待してますから。この先明るく生きていける「夢」を与えてくださいね。


だからやめてくださいって。


・・・・・。(じーっと見ている)


あの、もうちょっと離れてもらえます?気が散るんで。


----(離れる)。

男、気持ち悪そう。

ひらめきで詩をしたためる空。


出来ました。


・・・・出てきました。


え?大丈夫ですか?


----なんとか。


コレ、どうぞ。


どうも。(もらった紙を手に取り、口を押さえる。)


え?


ん?


それ、書いたやつなんですけど。


あ、うん、大丈夫。押さえただけで、何も付いてませんから。えと、・・・「*******(適当な詩)、空(クウ)」。


え?


何?どうかした?


いえ、クウ、イイですね。はい、クウです。


?・・・あ、これ、お礼です。あなたの勇気に感動です。コレでお金をもらおうっていう。


え?そんな事言われたら貰えませんよ。


ジョーダンです。私の気持ちですよ。これからも頑張って。


ありがとうございます。


・・・・あの、まだちょっと気分が悪いんで、少し休ませてください。


はぁ。あ、コレありがとうございます。初めて、僕、詩を書いてお金貰いました。なんか、嬉しいです。


・・・・。(手を振る)

無言でうなずきながらこみ上げたモノを飲み込む。

そして詩の書いた紙で口元を拭き、その紙を捨てた。



あ・・・。

その場を去る空。


遅いな、あの子・・・。。

尿意をもよおし、立ち上がり、ふらふらと歩き出す。

と、そこへ、ガーベラを手にしたマナブがあらわれる。
男とぶつかる。



あ、すいません。

マナブ
・・・・大丈夫です。


あの、この公園、トイレってありますか?

マナブ
確かそこをまっすぐ行って、ブランコの辺りの右手に。


あ、どうも。ありがとうございます。

マナブ
いえ。あ、松男?


え?私、違いますけど。

マナブ
いや、何でもないです。松男?いないのか?(とこそこそ男を探す)


僕の周りに誰かいるんですか?

マナブ
あ、落ちたのか?今ぶつかって落ちたのか?(地面を探す)


そんな小さな人いるんですか?(一緒に地面を探す)

マナブ
何でもないです。まだ、多分、あなたにはいないだけです。


松男がですか?

マナブ
あ、いました。良かった。順調です。


順調?それは良かったですね。

マナブ
はい。気を付けてくださいね。悪いコトしたらすぐばれますよ。


はぁ・・・。

トイレへ行く男。

満足そうにその場を去るマナブ。

------暗転。






【fuzzy m. Arts】



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