No.010
[ Cried for the Moon ]


Scene07

[復光と滅光。]


夜空を見上げるモモ。
そこは20年前と同じ、月の見える丘。


モモ
-------月は、地球に向かって西洋梨の様にのびて見える。それは、地球が月を引っ張っているからである。地球が月にそのような影響を与えているのなら、月も地球に対して同様のことをし、おそらく月は人類に対しても影響を及ぼしているのだろう。

ヒカルが背後に立っている。

ヒカル
誰のコトバ?

モモ
---------ジェームズ・アーウィン。アポロ15号の宇宙飛行士。月面を歩いた人の1人よ。

ヒカル
あ、聞いてもわかんないや。

モモ
(笑う)あなたはどう思う?

ヒカル
え?月の影響?あるんじゃないかな。だって、満月の夜って犯罪も多いって言うでしょ。

モモ
そうね。月は、時に人を狂わせてしまうこともあるのよね。

ヒカル
でも、それだけじゃないよ。月がチカラを与えることもある。僕は、月のおかげで、作品を創る事が出来ているんだ。

モモ
作品?

ヒカル
うん、僕、マンガを描いているんだ。

モモ
マンガ・・・あなた、ヒカルくん?

ヒカル
え?ひょっとして、僕のファン?

モモ
違う。

ヒカル
・・・だよね。

モモ
私、モモ。覚えていない?

ヒカル
え?モモちゃん?そうか、モモちゃんか。キミも20年前の事、思いだして来たんだ。

モモ
うん。月が消えたら、ココに来るんだって。

ヒカル
ねぇ、あの時、ウサギのおじさんが言ってた「月に大変なことが起こる」っていうの覚えてる?

モモ
あの変なおじさんが言ってた?それって月が消えること?

ヒカル
そうじゃない。大変なコトが起こる前に、月が1日消えるって。

モモ
それで、今、消えているの?

ヒカル
そう、月が、僕たちに知らせるために。

モモ
何を!?

ヒカル
月が、地球に衝突するんだよ。

モモ
え?

ヒカル
ニュースを見てないの?月は地球に急速に接近しているんだよ。月は自分で姿を隠しているだけ。本当はどんどん地球に近づいているんだ。だから、1日たったら、また現れるはずだよ。

モモ
ホント?ちゃんと月は出てくるの?良かったぁ。

ヒカル
だから良くないって。月は地球に衝突するんだよ。

モモ
え?そうか!どうなっちゃうの?

月が後方に浮かび上がる。

2人
あ!

モモ
良かった・・・。

ヒカル
でも、このままじゃ地球が。

モモ
あ、そっか。ヤバイよね。

そこへ、アキラが現れる。

アキラ
心配すること無いわ。人間だってそんなにバカじゃないんだから。

ヒカル
アキラちゃん・・・。

モモ
なんでスグにわかんのよ。

アキラ
みなさんお久しぶり。20年前の夜以来ね。

モモ
如月さん?

アキラ
あら、田島さん。・・・・あなたも。そう、それであんなに話が合ったのね。

ヒカル
え?2人は今でも知り合いなの?

モモ
あ、私の--------

アキラ
守秘義務は守るモノじゃないの?まぁ、構わないけど。

モモ
最近、偶然に会ったの。

アキラ
確かにそうね。

ヒカル
あ、そうなんだ。偶然?

モモ
ねぇ、それよりさっき言ったのはどういう意味?人間そんなにバカじゃないって。

アキラ
黙って月が地球にぶつかるのを見てる訳じゃないって言うコトよ。これから総理の会見があるから。それを聞けばわかるわ。

ポケットから小さな機械を出す。

モモ
何それ?

アキラ
まぁ、見てて。

ヒカル
小型ホログラフだ。すげー。

総理が現れる。

総理
あ、もういい?始まってる?

ヒカル
いつもの総理だ。

アキラ
聞いてて。

総理
皆さま。窓を開け、夜空をご覧下さい!月が、月が再び私達の目の前に姿を現しました。消えてしまっていた月が、ちょうど、丸一日、24時間たって姿を見せたのです。しかし、重大なコトを忘れてはいけません。本日私が発表したことを思い出して下さい。月は、地球に接近しているのです。・・・しかも急速に。このままでは月の地球への衝突を避けることは出来ません。月の主要所有国である日本は、この問題に責任を持って対処しなければいけません。 そこで私は、この危険な状況を回避し、また月資源をよりムダ無く利用し、危険も月も跡形もなく消し去る、「月解体計画」を提案します。月をバラバラにし、鉱物として地球に取り込むのです。詳しいことは国連で決議した後に発表します。では。

総理去る。
アキラは機械をポケットにしまう。


2人
「月解体計画」!?

モモ
そんな。

ヒカル
どういうことだよ。

アキラ
もうどうにもならないわよ。すぐに国連で決定されるんだから。

2人
!?

アキラ
今の会見を見たでしょ。解体しなきゃ月は地球に衝突するのよ。

モモ
だからって、

ヒカル
他に方法とかないのかな。

アキラ
もちろん考えたわ。だから破壊するだけじゃなくその資源をちゃんと利用するって。

ヒカル
君はどうしてそんな事を-------

アキラ
私、宇宙開発局の人間なの。

ヒカル
君が?

アキラ
しょうがないじゃない。月はどんどん接近しているの。月って言っても衝突されたらたまらないわ。それこそ地球はこっぱみじん。それでもいいって言うの?

ヒカル
そんなSFマンガみたいな事・・・よくないよ。

アキラ
じゃあ黙って見てるしかないわね。

モモ
でも他の方法を---------

アキラ
甘いわね。政治家達は月資源をチリまで利用しようとしているのよ。考えを変えるわけないじゃない。

2人
--------。

アキラ
私もう行くわ。計画実行の準備で忙しいから。・・あ、そうそう。私ね、その「月解体計画」の発案者で責任者なの。

2人
!?

アキラ
20年ぶりに、2人にココで会えて良かったわ。じゃあ、またね。

アキラ、その場を去る。

ヒカル
・・・もう、このままダメなんだ。月はこのまま、無くなってしまうんだ・・・。

モモ
ヒカルくん、なんでもう諦めるの?私たち、まだ何もしてないじゃない。

ヒカル
でも、計画が、実行されようとしている。そうすれば月が無くなる。でも今の状態では、計画を実行しなければ月と地球が衝突する。アキラちゃんの言うとおりだ。

モモ
だからって、何もせずに、見ているの?

ヒカル
じゃあ、どうすればいいんだよ?

モモ
私は人をあたってみる。

ヒカル
人って?

モモ
私は何としてでも止めたい。だから、ヒカルくんも、月に感謝する想いがあるのなら、そんなにすぐに諦めないで。

ヒカル
うん。

モモ
じゃあね、ヒカルくん。

ヒカル
うん、ありがとう、モモちゃん。僕も、頑張るよ。

2人、去る。
続いて、ジョジョ、マリア様、上嶋が現れる。


ジョジョ
ちょっと、おじいちゃん、ちゃんと歩いてよ。

上嶋
す、すいません。心臓に負担が大きくて・・・最近体調が悪いんですよ。

マリア様
聞きまして?月解体計画ですって!困りましたわ。ザビエルコンツェルンの危機だわ。

ジョジョ
あ!!

マリア様
なんですの?ジョジョ。

ジョジョ
月が出てる!!

上嶋
あ、ホントですな。

マリア様
コレであのエロマンガ家も大丈夫なんではないですの?

ジョジョ
先生って言いなよ。

マリア様
なんでエロマンガ家の事を先生と呼ばなくてはならないんですの?

ジョジョ
はぁ?

上嶋
まぁまぁお嬢様方、仲良くしてくださいよ。

ジョジョ
だってこいつ。

マリア様
こいつ?ジョジョ、マリアのことは

ジョジョ
うるせーなぁ、何でお前のことイチイチ様付けなんだよ。

マリア様
まぁ、これだから貧民は自分の身分をわきまえない・・・。

ジョジョ
自分が何様なんだよ!タダのお嬢じゃねぇか。自分のカネじゃなくて親のカネで贅沢してるだけじゃんか。

マリア様
えぇ、そうよ。それがお家柄って言うモノですもの。

上嶋
うっ・・・・。

ジョジョ
え?

マリア様
しっかりしてください。

上嶋
いや、あの本気で・・・。

ジョジョ
ちょ、ちょっとおじいちゃん!

上嶋
先生の事を頼みます・・・。

マリア様
え?ちょっとおじいさん?

ジョジョ
マリア様!何か呼んで!

マリア様
わかったわ!

上嶋
あぁ、川だ。いいなぁ泳ぎたい・・。

ジョジョ
ダメ!入っちゃダメ!!

---------暗転。

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