No.009
[ 20 till I die ]


Scene08

[タケルとアキラと。]


現代のタケルとくまこちゃん、タエコが喫茶店で話をしている。

タエコ
それで、お兄ちゃんは、その人とどうなったんですか?

タケル
どうだろ、直接キョウコさんとの事を見てた訳じゃねぇから、わかんねぇなぁ。ただ、あの頃、その人の事で、悩んでいたのは確かだよ。

タエコ
でも、結局片思いだったんでしょ。

タケル
まぁな。おまけにキョウコさんは結婚したはずなんだがなぁ。

タエコ
え?それなら普通諦めつくでしょ。

タケル
だよなぁ。そう思って教えてやったのに。

タエコ
教えた?

タケル
あぁ、オレが教えてやったんだよ。

タエコ
キョウコさんのこと、誰に聞いたんですか?

タケル
オレのおかぁだよ。キョウコさん家は近所でさぁ、オレのおかぁとキョウコさんのおとうが知り合いだったわけよ。

タエコ
お父さん?

タケル
あぁ、キョウコさんトコもまぁ君らんトコと同じで父子家庭だって言ってたから。 そういう環境的な話も合ったみたいよ。

タエコ
じゃあ、結婚の話を聞いてショックを受けたのかぁ。

タケル
おいおい、それじゃオレのせいだっていうのかよ。

タエコ
違うかなぁ。

タケル
そんなに思い詰めるかぁ?

タエコ
でも、そんなに好きな人の結婚を他人に教えてもらうだなんて。

タケル
そうなると、やっぱりオレがきっかけかぁ?でもキョウコさんが結婚したのは、その、アキラの記憶が止まったっていう、3月27日よりもずっと前なんだぜ。

タエコ
え?3月28日が結婚じゃなくて?

タケル
違う。日にちは忘れたけど、ありゃ確か2月だ。だからおかしいと思ってたんだよな。

タエコ
おかしいって。

タケル
あいつ言ってたんだよ、時々電話してる、そんなはずはないって。

タエコ
じゃあお兄ちゃんは結婚した後も連絡取ってたの?

タケル
ん〜・・・それはないんじゃないの?

タエコ
どうして?

タケル
キョウコさん、日本にいないはずだからさ。

タエコ
え?

タケル
結婚して、カナダに行ったって聞いたんだよ。オレさぁ、カナダかよっ!って思ってびっくりしたの覚えてるから。

タエコ
じゃあ、どうして電話できたの?

タケル
さぁ?どうしてだろ。オレにはわかんねぇな。その辺りで何かショックな事があったんじゃねぇの?

タエコ
そっかぁ、そうなのかなぁ。

と、クマ子ちゃんがタケルに「そろそろ時間だ」と知らせる。

タケル
おっ、もうそんな時間か。ごめんね、タエちゃん、オレそろそろ行くわ。

タエコ
今日は、わざわざお時間つくっていただいて、ありがとうございました。

タケル
アキラの事が聞けて、少し安心したよ。まぁ、いい状態とは言えないけどさ。また、何かあったら教えてくれよ。オレも思い出したら連絡するから。

タエコ
ありがとうございました。

タケル
おう、じゃあまたな。あ、今まで大変だったと思うけど、これからも、がんばってやってな。オレも協力するから。アキラによろしく。

タエコ
・・・ありがとうございます。

出ていくタケルとクマ子ちゃん。

----暗転。






【その頃の花村家】



縛られ、目隠しされてているアキラ。
鮫島がアキラに催眠術をかけようとしている。
見守る、なまこちゃん。


アキラ
・・・・あの、どういうことなんでしょうか?誘拐ですか?監禁ですか?

鮫島
どちらでもないわ、ここはあなたの家よ。

アキラ
じゃあ、強盗さんですか?

鮫島
あなたから何をとろうっていうの?

アキラ
何もないと思います。

鮫島
でしょ、だから強盗でもありません。

アキラ
あ!ひょっとして、ボクのストーカー。

なまこ
かんべんですじゃ。

アキラ
え?今の誰?

精霊(ナマコ)
ぷにぷに、ぷにーぷー。

アキラ
なな、なに?今のなに??う、宇宙人??

なまこ
なまずの精霊さんですじゃ。

アキラ
やばい!おかしな人たちがいる!!

鮫島
失礼しちゃうわねぇ。

なまこ
私はなまこですじゃ。

アキラ
なまこがしゃべってる!!

鮫島
うるさいわねぇ。

目隠しを取る。

アキラ
あれ?あ、どうも。・・・思ったよりきれいなんで驚きました。

精霊(ナマコ)
ぷに。

なまこ
ありがとうって。

アキラ
え?あ、その人形の事じゃないけど。

なまこ
人形じゃなくて、なまずの精霊さんですじゃ。

アキラ
ねぇ、オレどうなっちゃうの?食べられちゃうの??

鮫島
はいやぁ!!(一喝する)

アキラ
!?

鮫島
あなたは時をさかのぼる・・・1年、2年、3年、4年、・・・今は何年?

アキラ
1993年。

鮫島
あ、そうか、この子の中では1997年か。じゃあさかのぼるの中止〜。

アキラ
中止〜。

精霊(ナマコ)
ぷに〜。

鮫島
今は、1997年、3月27日よ。あなたがすでに経験している、3月27日よ。

アキラ
今日が、3月27日でしょ?

鮫島
違うの、あなたは何度も3月27日を経験してるはず。1番始めに経験した3月27日に戻るの。

アキラ
1番はじめの3月27日・・・。

鮫島
そうよ、1番はじめのよ。

精霊(ナマコ)
ぷにぷに。

鮫島
いい?がんばって頭の中を整理しなさい。

精霊(ナマコ)
ぷっぷぷに。

アキラ
ん〜。

と、そこへ会社帰りのトモがやってくる。

トモ
鮫島先生?あら、なまこちゃん。

精霊(ナマコ)
ぷにぷ。

鮫島
今ね、後退催眠を使ってアキラくんの記憶を調べてるの。タエコさんから大体の事は聞いてるから。

トモ
はぁ。何かわかりましたか?

鮫島
今始めたトコロよ。

アキラが震えだす。

鮫島
来たわ。なまずちゃん、

トモ
なまこちゃんです。

鮫島
なまこちゃん、タエコさんの代わりに話しかけてあげて。

なまこ
私が?

鮫島
そうよ、アキラくんの中のタエコさんは高校生だからこの中では一番近いはずでしょ。

なまこ
何て言えばいいですじゃ?

鮫島
えっと、お兄ちゃんって話しかけてあげて。あと、「じゃ」はなしで。

なまこ
あ、はい。・・・お兄ちゃん。

アキラ
・・・タエコ。

トモ
通じた。

鮫島
バカだわ。

トモ
おいおい。

鮫島
だって他人と実の妹の区別がつかないのよ。あ、今何してたか聞いて。

なまこ
お兄ちゃん、今は、何をしてたの?

アキラ
・・・電話。

鮫島
誰にか聞いて。

なまこ
誰にかけてたの?

アキラ
・・・キョウコさん。明日逢う約束したんだ。

鮫島
何を苦しんでるのか聞いて。

なまこ
なのに、どうして、そんなに苦しんでいるの?

アキラ
キョウコさんは・・・来るはずないから。また、来ないんだ。卒業式の時と同じ様に。(倒れる)

なまこ
アキラさん?アキラさん!?

鮫島
これがアキラくんが体験した中では、初めての1997年の3月27日よ。これ以降、時間が止まっているはずよ。

トモ
どういう事ですか?

鮫島
アキラくんは、その、キョウコさんという人に逢う約束をしていた。

なまこ
そうですじゃ。

鮫島
でも、その約束は破られると思っている。いや、思いこんでいる?勘違いなの?

なまこ
でも、アキラさんは、もう逢えないかもしれないけど、明日は来ると言ってたですじゃ。

トモ
そもそも、アキラさんは、どうして、そんなにキョウコさんという人のことを想っているの?

そこへタエコが帰ってくる。

タエコ
キョウコさんについては大体わかったわ。でも、7年前は結婚してるし、3月28日よりもずっと前に日本にはいないの。

鮫島
どうして?アキラくんは3月27日に、そのキョウコさんと話をしているのよ。

タエコ
キョウコさんとのはずがない。お兄ちゃんは一体、誰と話をしていたの?

アキラが目覚める。

アキラ
ボクは、キョウコさんと話をしたんだ!キョウコさんは本物だ!!ボクの事を騙したり何かしない!!キョウコさんはボクの気持ちをわかっているんだ!!ボクは話した!明日逢うって。大事な話をするんだって!!

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