No.009
[ 20 till I die ]


Scene02

[父の死はタエコに多大な迷惑を残す。]






【1ヶ月前】




【2004年2月13日金曜日】




舞台上、タエコとアキラの父の葬式の後。
そこにはぼーぜんとする喪服のタエコ。
後ろからトモが現れる。


トモ
・・・タエちゃん。

タエコ
先輩、今日はありがとうございました。わざわざ有給とっていただいてまで。

トモ
いいよいいよ、そんなのぉ。私に出来ることなら何でも言って。

タエコ
すいません、いろいろと、手伝ってもらって。

トモ
いいのいいの。気にしないで。

タエコ
はい。でも、これからどうしたらいいのか・・・・わかりません。

トモ
そんな風に言わないで。両親なんていずれ私たちより先に死んじゃうのが自然だったんだから。寂しいけど、逆に、ひとりで気楽な部分も出てくると思うよ。

タエコ
えぇ、本当に、ひとりだったら気楽だと思います。

トモ
ま、でもひとりって言っても、タエちゃんには友達たくさんいるでしょ。

タエコ
いません、友達なんて。こうやって手伝ってくれるのも、先輩だけです。

トモ
あ・・・・そうなんだ。

タエコ
私、つき合い悪いし、友達、いないんです。

トモ
そっかぁ・・・いつもまっすぐ帰ってたもんね。お父さんの介護をしてたの?

タエコ
いえ、父はおとついまで働いていました。

トモ
え?

タエコ
定年退職して、それで死んだんです。たいした退職金残せないから、保険金を残そうと思ってだと思います。

トモ
そんなこと・・・遺書とかあったの?

タエコ
ないけど、なんとなく、わかります。

トモ
そう・・・あれ?これ、なに?

と、部屋にある、大きな段ボール箱に気づく

タエコ
あぁ、ある意味、それ棺桶です。

トモ
は?

タエコ
どさくさ紛れについでに燃やしてもらおうと思ってたんですけど、なかなかタイミングなくて。私そういうとこダメなんですよね。

トモ
・・・あのね、タエちゃん、燃えるゴミは焼き場にもってっちゃダメなんだよ。粗大ゴミだったら業者さんにお願いするのよ。あ、ひょっとして、お父さんの遺品とか?

タエコ
わかってます。焼き場は人を焼くトコロです。

トモ
えぇ・・・・え?じゃあこれは?

タエコ
人です。焼き場で焼こうとしてたんですから。

と、箱がごそごそ動く。

トモ
!?

アキラ(声)
あれ?なんだここ?電気電気・・・あいた!ん?狭い!?狭いぞっ!立てない!!

タエコ
ちくしょー起きたか・・・。

トモ
はぁ??ちょっちょっと!誰が入ってんのよ!

アキラ(声)
暗いよ狭いよこわいよー。あ、わかった。ココ子宮の中だ。オレ、うまれかわるんだ。え?うそ??でもオレいつ死んだの??

タエコ
!!

頭にきて、箱を蹴るタエコ。その形相はすさまじい。
止めに入るトモ。


トモ
タエちゃん、な、なにやってんのよ!

タエコ
こいつのせいで、私の人生めちゃめちゃなのよ!

トモ
・・・・誰?

タエコ
-----お兄ちゃん。

トモ
え?

箱をつきやぶって現れるアキラ。

アキラ
呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん?じゃんじゃんじゃん♪

トモ
・・・・。

タエコ
殺して。

アキラ
冗談きついなぁ、タエコ何言ってんだよぉ、なんだ?そんなカッコしてぇ〜。 あれ?なんかお前急に老けたなぁ。あ、どうも、初めまして。タエコの兄でアキラと申します。タエコ、このお姉さんだぁれ?お前の家庭教師??

トモ
兄?

アキラ
はい、こんな素敵なお兄さんいるの知りませんでした?。

トモ
タエちゃん、この人・・・

タエコ
兄です。

トモ
え?でも、お父さんと2人家族じゃなかったの?今まで、一言もそんな、お兄さんがいるだなんて、

タエコ
この人は、生きてるようで、死んでる人なの。

アキラ
またまたぁ、冗談キツイぞぉ〜。(咳払い)ハジメマシテ、おいら、タエコの兄で花村アキラと申します。愛知学園大学の2年生でぇす。

トモ
大学?

アキラ
はい〜♪お年頃のハタチでございます。

トモ
ハタチ?

アキラ
はい〜少々老けて見えますが、正真正銘とぅえんてぃ!いやーずおぉーるどっ!です。ん?

トモ
タエちゃん、どういうこと?ハタチのお兄さんって。

アキラ
あの、すいません、妹さんいません?

トモ
え?姉はいますけど。

アキラ
あ、ですよね。お姉さんがいるなんて話は聞いたことないし。

トモ
あの、私、お兄さんがいるなんて話、聞いたことないんですけど。

アキラ
あ?タエコぉ。何でオレのこと秘密にするんだぁ?

タエコがキレる。
無言で殴る蹴る。
アキラもトモもどうしていいかわからない。


タエコ
・・・・お兄ちゃん、しゃべらないで。もう、やめて。

トモ
タエちゃん・・・どういうこと?

アキラ
うーうーうー・・・・。

タエコ
そりゃぁ!(と、一撃)

トモ
タエちゃん・・・。

タエコ
ま、いつものことだから。気にしないでください。

トモ
いつものことなの?コレが。

タエコ
うん。あの、先輩にだけ話します・・・。

BGM。

タエコの話の要約。


トモ
会社の後輩、花村タエコは、誰にも知られず、7年間の歳月を過ごしてきた兄、アキラのコトを話し始めた。彼がなぜ、25歳のタエちゃんの、ハタチの兄なのかを。
花村家は、お父さんの花村源蔵と、タエちゃん、そして兄のアキラの3人家族で、タエちゃんが気がついた時にお母さんはいなかったらしい。どうして母親がいなかったかは父の源蔵も兄のアキラも口にはしないので、気にしなかったそうだ。
そして事件は7年前の秋に起きた。

とぅるるるる・・・とぅるるるる・・・

トモ
高2の

タエコ
可愛い

トモ
タエちゃんが電話に出ると、

アキラ
事故った。

トモ
とヒトコト兄の声が聞こえた後

アキラ
ボク重症。

トモ
と言って、電話が切れたらしい。

タエコ
ださっ!

トモ
と思いつつも、

タエコ
まいっか。

トモ
などと思いながら、

タエコ
いかんいかん、

トモ
と思いとどまらせ、父に連絡。

タエコ
お父さん、兄ちゃん事故ったみたい。

源蔵
うるせぇ、今出てんだから電話かけんな。

トモ
と言われてまたも

タエコ
まいっか。

トモ
などと思いながら、

タエコ
いかんいかん、

トモ
と思いとどまらせ、父に再び連絡。

タエコ
もしもし?

源蔵
来たぁ!確変だぁ!!

タエコ
おっ♪やるじゃん。

トモ
それどころじゃなくて。

タエコ
あっ、お父さん、兄ちゃん重症らしいよ。

源蔵
父ちゃん源蔵らしいよ。

タエコ
断定しろよ。

トモ
そしてその5時間後、ようやく2人そろって病院へ。

タエコ
どうすんの?入院代高そうだよぉ。

源蔵
大丈夫、オレ今日12連チャンしたから。

タエコ
あ、車つぶれちゃったって。

源蔵
はぁっ!?このバカ息子がっ!

トモ
かわいそうなお兄さん。口も利けないらしい重症になりました。

アキラ
・・・・。

トモ
それから3ヶ月、無事に退院。

アキラ
おっしゃー。ばりばり、ばりばりするぞー。

源蔵
父ちゃんはぷりぷりだぁー!!

タエコ
意味不明。

トモ
しかし退院してから1ヵ月後。

アキラ
タエコぉ、明日の日付の新聞来てるぞ。

タエコ
はぁ?

トモ
次の日。

アキラ
父さん、あさっての新聞が来てる!

源蔵
恐怖新聞か!?

トモ
次の日。

アキラ
タエコ、父さん、あさっての次の日の新聞が来てる!!

2人
しつこいよ。

トモ
毎日毎日同じボケを繰り返すアキラをみて、さすがにおかしいと思って病院に連れて行くと

鮫島
記憶障害です。

トモ
と言われ。

2人
は?

トモ
とさっぱり見当つかず。

鮫島
事故の後遺症でしょう。

2人
うそっ。

トモ
と戸惑いながらも毎日毎日同じコトを言うアキラ。

アキラ
オレやばい!!

トモ
と何かに気づくといちいちパニックに陥るアキラ。

アキラ
新聞が?

トモ
とか

アキラ
テレビが!?

トモ
とか

アキラ
髪が伸びてる!!

トモ
とか。そこで再び登場。

鮫島
セクシー鮫島です。

タエコ
パニックがウザくて・・・。

鮫島
では気づかれない様にしましょう。

タエコ
気づかれない様に?

鮫島
はい。彼の衣類や雑貨、また彼自身の髪から爪から変化するモノ全てを現状維持させて気づかれない様にするのです。

タエコ
そんなこと出来るんですか?

鮫島
はい。コレぐらいでお手伝いさせて頂きます。

タ&源
たけー。

鮫島
よーっくお考え下さい。

アキラ
うわーっ、オレおかしーっ!

トモ
と言うわけで。

タ&源
お願いします。

トモ
と言うことで。

鮫タ源
それからの7年間、彼は毎日同じ日を生きているのです。(3人退場)

トモ
そんな話を聞いていて、不覚にもタエちゃんに同情してしまった私は、時々タエちゃんに変わって花村アキラの世話をする様になったのです。

----暗転。

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