No.008
[ ダカラ僕ハ此処ニ居ル ]


Scene10







【その日の深夜】




【午前2時】





たまを直しているパパ。

そこへベベが現れる。


ベベ
パパ・・・・。

パパ
どうした?ベベ、眠れないのか?

ベベ
だって、やっとこの時が来たんだもん。普通に寝れらないよ。

パパ
なぁ。お前はあの男でいいのか?

ベベ
だって、一番優秀なんでしょ。

パパ
そうは言っても、社会的にも能力的にも特別そうは見えなかったが・・・・。

ベベ
そうよね。たまの間違いなのかな。

パパ
かもしれんな、壊れちゃったし。

ベベ
直る?

パパ
明日までには直してやるよ。かわいそうだし、たまがいなくてはイロイロ不便だろ。

ベベ
そうね、小さいけど、ママ代わりでもあるもんね。

パパ
あぁ。

ベベ
どうなっているのかしらね、この星は。

パパ
どういう意味だ?

ベベ
あんまり環境も良くないし、いずれ私たちの星みたいになっていくのかしら。

パパ
そうだな。進化の暴走は誰にも止められなかったからな。もしこのままダメになっていくのなら、もう一度隕石を落としてもろとも消してしまおうか・・・なんてね。

ベベ
ねぇ、パパ。

パパ
なんだ?

ベベ
もし、あの人が、私たちを越えた人間ならば、新しい技術を発明することもありうるのかしら。

パパ
どうだろう・・・いくら越えていると言えども、周りの環境や教育にもよるからな。あの環境ではそう新しい技術を見つけだせるとはおもえん。

ベベ
じゃあ、パパが教育したらどう?

パパ
教育?

ベベ
うん、パパの技術をあの人に託すの。そうすれば、そこから新たな技術を生み出すことがあるかもしれない。

パパ
確かにな。まぁ、私たちを越えているとすれば、だ。

ベベ
パパ・・・・私たちの星に似てるわよね。

パパ
ん?・・・そうだな。

ベベ
減少しつつある緑、蔓延している病気、増える人口に争い。悪いところがそっくり。このままじゃ・・・・。

パパ
それでお前はあの男に技術を託せと?

ベベ
ここでこの星の人類が終わってしまったら、私たちの今まではなんだったの?

パパ
ベベ、結果を求めすぎてはいかん。私たちはやるだけのことはやった。数え切れない子ども達のコールドスリープやこの星への輸送は簡単では無かった。考えつく方法は全てやった。また子ども達が繰り返そうとするなら、私が知らないところで決まっている運命なのかもしれん。

ベベ
ならあの人に技術を。

パパ
そうだな、お前の婿になるんだからな。私もコールドスリープを繰り返し、そう長くは生きられないだろう。最後に他の人間に託すのもいいだろう。

ベベ
うん、ありがとね。

パパ
私は、お前に幸せになって欲しいだけだ。

ベベ
パパ、ありがとう。じゃあおやすみなさい。

パパ
あぁ、おや、

たま
おやすみにゃん。

パパ&ベベ
あ、直った。

たま
ありがとにゃん。

パパ
・・・・あぁ。

ベベ
たま、行きましょ。

たま
うん。

パパ
・・・・私も寝るよ。

3人、寝に行く。

場面が変わる。
ひみこ、コマチ、ブルがそれぞれに夜空を眺める。


ひみこ
・・・・あーあ・・・ユーケイちゃん、おこっとるかなぁ・・・いや、かなしんどるんかなぁ・・・なんておもっとるんだろ。せっかく17年ぶりに帰ってきたのに、もうマトモに顔合わせができんがね。はぁあ。

ブル
はぁあ、また顔合わせ出来るのかなぁ・・・突然僕の前に現れた、紛れもない、あれはセーラー服の紳士♪ほんっとステキ。タイプだなぁ〜。なんだか目覚めちゃった♪

コマチ
目が覚めちゃった・・・なかなか寝れないや。それにしてもすごいなココ、お父さんとお兄ちゃんに変態と宇宙人だもん。

ひみこ
あーあ、変態の宇宙人見逃したのくやしいなぁ・・・本物だったのかなぁ。

ブル
本物だなぁ、この恋は。こんな気持ち初めて、今でもドキドキしちゃう。恋ってステキ☆

コマチ
あんな濃いキャラばっかりじゃ私がつぶれちゃう。もっと頑張らなきゃ。

ひみこ
もっと頑張るしかないわねぇ、こりゃ。

ブル
僕頑張る!

3人
さて、寝よっと。あ、星だ・・・・宇宙人ってホントにいるんだなぁ・・・。

場面が変わる。

ユーケイ、グラスを片手に座って現れる。もうかなりできあがっている。
そこへ、博士が現れる。


博士
ユーケイ、ここにいたのか。

ユーケイ
あぁ、ちょっと寒いけど、星がよく見えるから。

博士
飲んでいるのか?

ユーケイ
ちょっと飲みたくて。

博士
もう、ハタチか、お前も。早いもんだ。

ユーケイ
父さん、自分の事がよくわからないんだ。何だかいつも普通に生きてきたのに、急に。

博士
母親のことか。

ユーケイ
それは落ち着いたよ。びっくりしたけど、僕もこどもじゃない。

博士
そうだな。

ユーケイ
何か、話すことはないの?僕に。

博士
話すこと?

ユーケイ
僕の母親は誰?父さんは、僕の本当の父さんなの?僕は一体何者なの??

博士
お前はそれを知って、・・・・それで何かが変わるのか?

ユーケイ
・・・・そうかもね。たいして変わりがあるわけじゃないもんね。もういいよ。

博士
・・・・。

ユーケイ
そうだ、倒れてびっくりしたろ。ここんトコいろんな事ばっかり考えてるせいか、最近調子が悪くてさ。時々、研究室にいても突然卒倒しちゃうんだ。

博士、ポケットからテープレコーダーを出してスイッチを入れる。

「見上げてごらん夜の星を」(坂本九)


ユーケイ
何だよ、この歌。

博士
九ちゃんだ。もう50年も前になるかな、飛行機事故で死んだんだ。

ユーケイ
・・・だから?

博士
父さんの一番好きな曲でな。初恋の人がくれた曲がコレだった。

ユーケイ
何だよ、それ。

博士
はじめはな、この曲、愛というか恋というか、そういう2人の事をうたっていると思ってたんだ。

ユーケイ
------ 。

博士
でも、九ちゃん、他のことも歌っているんじゃないかって気がするんだ。

ユーケイ
別のこと?

博士
九ちゃん、なんて歌ってる?

ユーケイ
・・・・見上げてごらん。

博士
そうだ・・・・何がある?

ユーケイ
空。

博士
他には?

ユーケイ
星?

博士
他には?

ユーケイ
宇宙。

博士
そうだ、宇宙が無限に、広がっている。じゃあ、今度はずっと視点を下げてみろ。

ユーケイ
下げる?

博士
何がある?

ユーケイ
父さんがいる。

博士
他には?

ユーケイ
研究所がある。

博士
他には?

ユーケイ
たくさんの人がいる、日本がある、地球がある、

博士
もういい。お前はドコにいるんだ?

ユーケイ
・・・・。

博士
ユーケイ、九ちゃんやるよ。私の思い出の品だ。コレを聴きながらもう一度考えてみろ。そんな簡単にわかることじゃない。

ユーケイ
・・・・。

博士
あ、明日また宇宙人たちが来るって言ってたぞ。お前、ムコに行くのか?

ユーケイ
いや、そう言われても。

博士
宇宙人達は、お前がムコにならなければもう一度地球に隕石を落とすと言っていた。 まぁ、脅しだと思うが、それが出来てしまうのがあいつらだからな。
・・・・おやすみ。

-----暗転

Scene11-1へ


※無断転載、無断複写を固く禁じます。上演許可申請の際はお問い合せよりメールを下さい。

上へ戻る
目次へ戻る
台本一覧へ戻る
TOPへ戻る

fuzzy m. Arts