No.006
[ Re:make ]


Scene02
[ 6年前(警告)]





【 6年前 】




【 警告 】




舞台上明るくなる。

舞台中央に電話をしているママ親父ことアイルの叔父・性転換前の亀吉。


亀吉
なるほど・・・・おらは異常ではねぇんだな。・・・・・へぇ、アリですか。いやぁ、そういう風に言われると、今まで悩んできた事が報われるなぁ。・・・・・うんうん。やっぱり専門家に聞いてみるもんだなぁ。オサムさん、ちょっとおらのトコ来てくれないかなぁ。いやね、もっと詳しいハナシ聞きたいし。どうせお隣なんだし、頼むよぉ。

と、アイル(17才)が入ってくる。

アイル
ただいまぁ。

亀吉
おかえりぃ。早かったねぇ。

アイル
うん・・・・。(じっと亀吉を見つめる)

亀吉
どしたの?

アイル
いや、何かおじさんに言いたいことがあったような気がするんだけど・・・・。

亀吉
何?

アイル
いや・・・・思い出せないから、いいや。

亀吉
バイトは?

アイル
来週からテストなんだ。

亀吉
へぇ。学校決まってるのに今更関係あるの?でももう卒業でしょ。

アイル
その卒業がかかってんだって。ちゃんとある程度出来ないと卒業させない、とか。

亀吉
大変だねぇ、高校生も。

アイル
うん。じゃあ私勉強してるから。

チャイムの音。

アイル
誰だろ。

亀吉
あ、オサムさん。

アイル
え?オサムさん?

と、亀吉が玄関に迎えに行く。

オサム登場。


オサム
こんにちわぁ。アイルちゃんおひさしぶりぶりぃ。

アイル
こんにちは・・・・。

オサム
どうしたの?ぼーっとしちゃって。

アイル
いや、何か、すっごい大事な事思い出せそうなんだけど、思い出せなくて・・・・。

亀吉
テスト勉強で疲れてるだよ。ちょっと寝てからにしたら?今日はご飯おらがつくっとくから。

アイル
ホント?ありがと。じゃあ、オサムさん、ごゆっくり。

オサム
ありがとねぇ。

アイル、自分の部屋に行く。しばしの間。

亀吉
まだ、アイルちゃんには何も言わないで欲しいんだども。

オサム
そうねぇ、やっぱりはじめはナカナカ理解しがたい事だから、その方がいいわね。

亀吉
よろしくおねげーします。

オサム
まぁ、座って。

亀吉
じゃあ、早速ハナシ聞かせてくれるだか。専門家の見解を聞かせてほしいだよ。

オサム
もちろん。まず、亀きっつぁんは、私達とはちょっと違う。私が何だかわかってるわよね。

亀吉
そりゃもう、誰がなんと言おうと、『オカマ』だ。

オサム
その通り。私は由緒正しきオカマヤクザの若がしら、高岡オサム。ねぇ、亀きっつぁん、オカマはどんな人達の事を言うのかわかる?

亀吉
そりゃもう、オサムさんみたいな人の事だ。

オサム
そうねぇ。オカマの模範生みたいな私だから、オカマの見本と言っても過言ではないわ。でも、具体的に言うと、こういう事なの。

亀吉
ふむふむ・・・。

オサム
姿は女、でもカラダは男、コレがオカマよ。ニューハーフはカラダを女につくりかえてしまう、すなわち性転換してしまった状態を言います。

亀吉
ほほぉ。

オサム
でも、私たちオカマは、カラダが男であることを理解している。むしろ、男と女の両方の性を持つことを誇りとしているわ。

亀吉
そうなんだか。

オサム
ところがニューハーフはカラダの方も、どうしても女にしたいと願っている。この、オカマとニューハーフの違いがわかる?

亀吉
え?だから、カラダの違いなんだべ。

オサム
違うわ。

亀吉
え?

オサム
脳よ。

亀吉
脳?

オサム
えぇ、脳が違うの。

亀吉
どういう事かよくわからないんだども。

オサム
専門家として、かみ砕いて説明するわ。

亀吉
おねげぇします。

オサム
私たち、オカマは、いわゆる趣向的要素、つまり、この姿が落ち着く、楽しい、という趣味の領域が広がったモノだと思うの。だからオカマの中には、結婚して、コドモをもうける人も少なく無いわ。つまり、性も脳も男なの。

亀吉
ほう。

オサム
コレに対して、ニューハーフになる人の脳は、完全に女だと言うこと。ココが大きな違いね。

亀吉
脳が女なんだか?

オサム
そう。生まれつき。だから、そのカラダにどうしても、不快感を覚える。自分の認識では自分が完全に女。なのにカラダが男なの。コレは苦しいわよ。

亀吉
いやぁ、そりゃ大変だぁ。

オサム
最近になってようやく、そのような状態の人達が認識されてきたの。

亀吉
そうなんだか?

オサム
えぇ、もっともらしい、病名までつけれているわ。

亀吉
病名?病気何だか?

オサム
病気というか、先天性障害、かな。脳とカラダの性が不一致なのは、生まれ持った障害でしょ。

亀吉
ほほう。

オサム
それを「性同一性障害」というの。

亀吉
せいどう・・・・・・なるほど。

オサム
おそらく、亀きっつぁんは、その「性同一性障害」ね。

亀吉
えぇ??おら、脳は女なんだか?

オサム
そうよ。

亀吉
おら・・・・ずっと、自分がおかしいんだと、思ってただ・・・・。(泣く)

オサム
おかしいんじゃないのよ。そういう人は世界にはたくさんいるの。そういう人として、理解されるべきなのよ。

亀吉
どうなんだか?

オサム
えぇ。政治家だって、スポーツ選手だって、カミングアウトして性転換を受け、自分が本来あるべき性を手に入れて社会で活躍しているわ。

亀吉
本当だか?

オサム
本当よ。亀きっつぁんも、本来の自分を手に入れても、イイと思うわ。

亀吉
え・・・でも、・・・・突然言われても、変われないだよ。おらもういい年だし、こんなごついし。第一、性転換なんて言われても、困るだよ。

オサム
任せて。世界一そういうことに通じているヤクザなんだから、ちゃんと亀きっつぁんを、立派な女にしてみせるわ。

亀吉
本当だか?

オサム
えぇ、もちろんよ。はいじゃあコレに答えてくれる?

と、紙を渡す。

Scene02-2へ


※無断転載、無断複写を固く禁じます。上演許可申請の際はお問い合せよりメールを下さい。

上へ戻る
目次へ戻る
台本一覧へ戻る
TOPへ戻る

fuzzy m. Arts