No.005
[ c・lover ]


Scene07
[ T-morrow ]






【 翌 日 】





はながイスに座りボーっとしている。

はな
・・・・・どうなっちゃうんだろう、・・・わたし。タケルが死んでまだ半年だっていうのに、私はあっという間に、次のコトに進んでる。音楽から離れて、就職して、彼氏が出来て・・・・。あっという間に時間が進んでいって、タケルが遠くに離れてしまって・・・・。タケルは私の何だったの?・・・・そんなものだったの?みんなに言われる、「元気だして」とか「がんばって」とか「いつまでも沈んでても仕方がないよ」とか。そんなこと言われなくても、私は、元気だし、がんばれるし、沈んでない。・・・・・沈んで?大体、私、タケルが死んで、沈んだことがあるのかな?大好きな人が死んだのに、・・・・私、なんともない?

タケル(声)
------ごめんな。

はな
え?

ケータイのコール音。

はな
・・・・・はい。・・・・・ユースケ?うん、まだ仕事中だよ。そう、ちょっと、残業。え?明日?・・・・うん。そうなんだ。わかった。仕方ないもんね。いいよ、大丈夫。私も今の時期忙しいし。また今度ね。うん、ユースケもがんばって。帰ったらまた電話する。うん、じゃあ。

暗転。

病院の一室。
カスミがイライラしている。
そこへ山盛が現れる。


山盛
・・・あら、今日はおとなしくしているのねぇ。もう逃げたりはしないの?

カスミ
・・・・オレ、・・・・オカマになることにしたんだ。

山盛
・・・・は?何突然言い出すのよ!ココじゃ性転換出来ないわよ!!

カスミ
違う!ニューハーフじゃないんだ!オレがなるのはオカマ!オカマはオトコでありながら、オンナのココロも持ちあわせているんだ。だから手術したりしないんだよ。

山盛
そ、そうなんだ。でも、なりたくないんじゃなかったの?抵抗してて、お兄さんに無理矢理ココに入れられたんでしょ。

カスミ
もういいんだ。

山盛
そう、じゃあすぐに退院出来そうね。また、お姉さんの顔が見たくなったら、いつでも来ていいわよ。なんなら今度、ロビーでデュエットする?

カスミ
え?い、イイです。

山盛
なぁに?照れちゃって。んもうっカワイイ☆イイ思い出になるわよぉ、この解放的な病院のロビーで2人で熱唱するのよ〜。もうっ!さいっっっこうに、すがすがしい気分になるわよ。

カスミ
オレには、ちょっと。

山盛
じゃあ退院は不許可です。

カスミ
えぇ?

山盛
冗談よ。でも、デュエット、楽しみにしてるから。

カスミ
・・・・は、はい。

山盛
・・・・今、「はい」って言ったわね!ぜっっったい、デュエットするわよ!いい?この芝居が終わるマデに絶対2人で歌うわよ。私のぼうやに聞かせてあげたい曲があるの!手伝って頂戴ね!約束よ!!

そこへ、オサムがやってくる。

オサム
あら、どうもー、毎度お世話になりますぅ。

山盛
あ、どうも。こんにちわ。

オサム
昨日はお騒がせしまして、ホントに申し訳ありませんでした。もうカスミちゃんも落ち着いたようですので。ホント、ご迷惑おかけしました。

山盛
いえいえ。何だか、落ち着いたというか、一大決心も出来たようで。

オサム
そうなんですよぉ。長年私が言ってきた事をようやくわかってくれたみたいで。ホント、良かったです。

山盛
へぇ、・・・・「オカマ」、らしいですよね。

オサム
えぇ、見ての通り、私だけでなく、家は父も一番下の弟も立派なオカマでして、カスミちゃんだけが、拒んでたんですよ。ほんと、何でかしら。私には理解出来ないわ。

山盛
あぁ、そういうもんですか。

オサム
えぇ、早速ステキなセーラー服をオーダーしたんですよぉ、ほら今ココに・・・・あら?まーくんは?

山盛
お兄さん、お一人で入ってこられましたけど。

オサム
えぇ!ど、どうしよう!まーくん迷子だわ!さ、捜さなきゃ!あ、でも、私じゃこの病院、私も迷子になっちゃう・・・・。

山盛
んもう・・・困っちゃうわねぇ。私が探してきてあげる。

オサム
ホント、先生ステキ☆

山盛
あ、あんまり寄らないで。じゃあ、この部屋で待ってて下さい。その顔で、この病院ちょろちょろしないでくださいよ。

オサム
んもうっ、つれないわねぇ。

出ていく山盛。

カスミ
まーくん、ほんとに迷子なの?

オサム
ウソに決まってんじゃない。2人で話しなきゃイケナイと思ってさ。

カスミ
あ、じゃあまーくん置いてきたの?

オサム
うぅん、そこの廊下まっすぐ行ったトコの、踏んじ張って掃除道具入れに閉じこめといた。

カスミ
えぇ?

オサム
だって、ほら、結局いませんでした、ってなると、捜索願いとか勝手に出されたら困るじゃない。だから、いざと言うときは、あ、こんなトコにいましたーって登場すればいいでしょ。お兄ちゃん抜け目な〜い♪

カスミ
・・・・・・。

オサム
そうそう、で、例の人なんだけど、案外早く見つかったわよ。高岡組の情報網を使うほどじゃなかったわね。

カスミ
え?有名人?

オサム
んー、まぁちょっとしたね。でもね、見つかったのはいいけど、あんまりいいお知らせじゃあ無いわね。

カスミ
どういうコト?

オサム
え?んー、まぁ、ストレートに言うとね、・・・・・死んじゃってたの。 ロマンティックに言うと、お星様になったのよ。

カスミ
え?

オサム
よくよく考えてみれば、そこいらへんが原因でここにいるのかもね。うん、切ないお話ねぇ。

カスミ
・・・・・・。

オサム
・・・・まぁ、仕方が無いわよ。現実はそういうもんなんだから。さ、あなたはあなた。自分の将来を考えましょう。

カスミ
・・・・オレ、何か、出来ないのかな。

オサム
何言ってるの?そんな知らない人のこと、もうどうでもいいじゃない。

カスミ
オレ、「オカマ」をかけて探そうとしたのに、こんな結末納得出来ないよ。

オサム
んー、た、確かに。一大決心をしたきっかけにしてはあっけないわね。でもどうするって言うのよ。

カスミ
あの人を、正気にもどしてあげたい。

オサム
それは私たちの仕事じゃないわよ。ココの先生達がやることなんだから、素人が手なんか出さない方がいいのよ。

カスミ
そうかもしれないけど・・・・。

オサム
一応ね、はっきりさせときたいと思って、今、事務所のマネージャーさん探してるんだけどね、どうも行方不明なのよ。あの人かなりのくせ者ね。タレントをコマとして扱ってみたいで、売れないコは水商売送りにしてたみたいだし。あとね、ウチの組じゃないけど、ヤクザからクスリも買ってたみたい。

カスミ
クスリ?・・・・そんなのに関わってる人なの?。

オサム
そうそう、そうなのよぉ。ロクな人間じゃないわよねぇ。どう?抜け目ないでしょ。

カスミ
う、うん。

オサム
まぁ、他人にしたって、そうやって人のコトを考えてあげることは良いことよね。今夜中には何かわかるわよ。

カスミ
ホントに?

オサム
えぇ、高岡組若がしらのオサムちゃんをなめちゃダメよ。

カスミ
オサム兄ちゃん、・・・・ありがとう。

オサム
あ、セーラー服、持ってきたから。そうだ!せっかくだからその女の人さんにも、お披露目しましょ。元気つけてあげたいんでしょ。

カスミ
そ、そうだけど・・・・。

オサム
楽しみね!そうそう、まーくんにも何かちゃんと、お礼しなさいよ。今頃ロッカーの中で泣いてるから。

カスミ
うん・・・・。

と、そこへ山盛とロープでぐるぐる巻きにされたマコトがやってくる。

マコト
兄ちゃん!ヒドイよ!!

山盛
・・・・・・・。

オサム
良かったぁ。先生、ありがと☆

マコト
ばかぁ!

-----暗転。

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