No.004
[e☆f]


Scene03

公園


走ってくるイヴと少年(エイト)。
息を切らせて、何もしゃべることができないイヴ。


エイト
じゃあ。・・・・あ、もうやるなよ。(立ち去ろうとする)

イヴ
ちょっと、待って。何で、止めてくれたの?

エイト
は?つかまっちまうだろ。

イヴ
そ、そうかな?一応、まわりをみて、店員もこっち見てなかったし、大丈夫そうだったから。

エイト
何言ってんの?オレが近づいたの気づかなかったくせに。

イヴ
あ、・・・・そっか。

エイト
でも、さっきは確かにあのままでも上手くいったと思うよ。

イヴ
やっぱり?

エイト
あんま店員も見てなかったしね。

イヴ
よね。

エイト
でも上手くいったらまたやるでしょ。

イヴ
やらないよ。ちょっとした出来心なんだから。

エイト
やる。絶対やる。それで、そのうち捕まる。

イヴ
・・・・・。

エイト
そーいうの、メイワクなんだよ。ヘタに素人が捕まってさ、警備が厳重になったらオレが困るんだよ。

イヴ
ごめんなさい。

エイト
あぁいうコンビニは、未だに「防犯カメラ作動中」って張り紙だけで、ホントは何にもないんだよ。知ってた?

イヴ
知らない。

エイト
だから、そういうことも知らないのにさ、勝手にヒトのシマ荒らさないでくれる?

イヴ
うん。ごめん。もうしない・・・・・シマ?

エイト
うん。

イヴ
は?

エイト
・・・・・・生活かかってんだ。誰にも言うなよ。

イヴ
う、うん。

エイト
もし、言ったら、おねーさんの家のドアに、「只今、痔の治療中」って落書きするからね。

イヴ
こ、怖いこと言わないでよ。

エイト
いい?

イヴ
う、うん。言わない。

エイト
この辺り、45件のコンビニを含むシマを、オレをリーダーとした5人の小中学生がチームとして万引きをしている。
いっとくけど、このシマでの万引きは、オレらがちゃんとしきってるから、ボンボンあがりのヤンキーとか、ヒマをもてあました主婦やストレスたまったOLなんかには絶対にやらせない。
オレたちはそれも含めて、このシマを、仕切っているんだ。

イヴ
ちょ、ちょっと待って、【自分のシマ】とか、【仕切ってる】ってどういうこと?

エイト
そういう世界にはさ、ちゃんとそういう世界のルールがあるんだよ。オレは、そういう世界に認められて、そのルールにのっとって仕事をしてんだよ。

イヴ
そ、そうなんだ。すごいね、なんだか。知らない世界知っちゃった。

エイト
言うなよ、言ったら!

イヴ
「痔の治療中」でしょ。

エイト
いや、やっぱそれじゃ甘い。「バストアップエクササイズ実施中」って、

イヴ
こら、調子にのるな!

エイト
冗談だよ。

イヴ
たれてないからな!

エイト
たれるほどないんだろ。

イヴ
結構カタチいいんだよ、って何言わすんだ!

エイト
・・・・んじゃ、オレ、帰るよ。ご飯つくんなきゃいけないから。

イヴ
流さないでよ。さみしいなぁ。

エイト
は?

イヴ
偉いね、自分でご飯作るなんて。キミ、名前なんて言うの?

エイト
何で?

イヴ
私が社会の谷に落ちるのを救ってくれた恩人でしょ。

エイト
そう?

イヴ
うん、ありがと。

エイト
----エイト。

イヴ
エイト?かっこいい名前ね。

エイト
本名な訳ないだろ。

イヴ
そうなの?

エイト
うん。兄さんが付けてくれたんだ。

イヴ
お兄さんが?

エイト
本名は母さんが付けた。

イヴ
その名前は?

エイト
忘れた。

イヴ
え?

エイト
いいだろ、どうだって。おねえさんの名前は?

イヴ
イヴ。

エイト
イヴ?お水のオネエさんみたいだね。

イヴ
なんでそんなの知ってんのよ。

エイト
昔、酔っぱらった父さんがよく連れて帰ってきたから。

イヴ
つ、連れて?

エイト
父さんおっぱい聖人で(あえて聖なるヒト)、いっつも連れてくる人ぼーんってこんなんで、乙葉かMEGUMIかって感じなんだよねぇ。(とイヴのチチを見る)

イヴ
見るな!このセクハラ小学生が!

エイト
あ、オレ、中学生なんだけど。

イヴ
え?あ、そうなんだ。ごめんなさい。

エイト
一応ね。4月に中1になったばっか。でも、1回も行ってない。

イヴ
え?・・・・・なんで?

エイト
いろいろあってさ。

イヴ
結構、忙しいんだ。

エイト
・・・・え?

イヴ
仕切ってるんでしょ。このあたり。

エイト
そうだよ。

イヴ
だから、学校も行けないんでしょ。

エイト
・・・・そうだよ。

イヴ
やっぱりさ、万引きは昼間の方がいいの?

エイト
人が少ないしね。

イヴ
でも、店員に呼び止められたりしない?

エイト
今時、そんな大人はいないよ。だれだって面倒なことに巻き込まれるのはイヤだろ。

イヴ
そうかな・・・・?

エイト
あったり前だろ。誰だって、子どものことなんて面倒なんだよ。

イヴ
そんなことないよ。

エイト
は?

イヴ
子どもの事を考えてる大人もいるよ。

エイト
ほんの一握り、でしょ。

イヴ
そう、かな。

エイト
オレは、そんなヤツにあったことない。

イヴ
そっか・・・・。

エイト
んじゃ、オレ帰るよ。もうすぐ兄さん帰って来るし。

イヴ
うん。ありがと。

エイト
別に。

イヴ
あ、コレ。

と言って、紙をエイトに紙に何かを書いてを渡す。

エイト
何?

イヴ
ケータイ番号。

エイト
ナンパ?

イヴ
何かあったら、電話して。

エイト
何で?

イヴ
お礼。恩を返したいから。

エイト
・・・・・。

無言で去るエイト。

イヴ
はぁ・・・・何という、偶然。でもまずいよね、よりによって教師が、万引きなんて。

-----暗転。

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