No.003
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Scene10

ALIVE


病室。

しばらく、ベッドを見つめる音々。
部屋を出ようとする。

すっと、ベッド起きあがる助六。
気配を感じ立ち止まる音々。そして、ゆっくりと振り返る。


助六
ふぅーっ。(のびる)

音々
------- !!

助六
・・・・・あ。

音々
スケ!

助六
え?

音々
スケ・・・・・。

ゆっくりと近づき、助六を抱きしめる音々。

音々
スケ、ホントに起きたの?

助六
あ、いや、・・・・え?いや、俺さ。

音々
スケ?

助六
いや、俺さ、悪いけど、スケじゃないんだよね。

音々
何言ってるの?

助六
OK、落ち着いて聞いてくれ。悪いんだけど、俺さぁ、スケじゃないんだよね。

音々
スケ、大丈夫、起きたばっかりだから、よくわかんないんでしょ。今看護婦さん呼ぶね。

助六
ちょっと待って、あの看護婦は呼ばないでよ。ホントなんだ、知ってるだろ、脳波が消えてるって。あいつ、またねむっちまったんだよ。

音々
何言ってるの?

助六
俺、バベルって言うんだ。スケの体をちょっと借りたんだ。

音々
スケ、しっかりしてよ。あなたは、寿助六でしょ。

助六
だから違うんだ。スケはまたねむっちまったって言ってるだろ。

音々
わかった。今お医者さん呼んでくるから。

助六
わかってねーじゃん。ちょっと待て!

そこへさやが手にナイフを持って現れる。

音々
あれ、さやちゃん、どうしたの?

助六
さや!!

音々
え?

さや
そう・・・起きたんだ。ちゃんと目覚めたんだ。良かったね・・・。

音々
そうなの。さやちゃん、ありがとう。でも、どうして知ってたの?

さや
ずっと、・・・・知ってたわよ。ずっと前から。(ナイフを握り直す)

音々
え?

さや
ずっと、あんたのそばで見てたのよ。

助六
さや、お前、何やってんだ?

さや
何で、・・・・あんただけ生き返るのよ。何であんた達だけに幸せがやってくるのよ。

音々
さやちゃん、どうしたの?

助六
さや、何でここに・・・・。

さや
あんたを殺しに来たのよ。ずっと待ってたのよ。この女のそばでさ。いつか目が覚めるのを・・・・・。

音々
な、何を言ってるの?

さや
わからないの?3ヶ月前に屋台を襲って逃げたのが私!それで死んだのが私の彼氏なの!

音々
さやちゃん!?

助六
さや、ちょっと待て!

さや
気安く名前を呼ばないで!!バベルはあなたのせいで死んだの。何にも悪いこと何てしてないのに、みんなが彼のことだまして、いっぱい借金作らせて、バベルは才能あったのに、世に出る前に、死んじゃった。ずっと、待ってた。ずっと待ってた!死に損なったあんたのオトコを殺してやるのを!

助六
おい、ちょ、ちょっと待てって言ってんじゃん。

音々
止めて!

さや
止めてって、言われて止められるわけないでしょ!

音々
お願い。さやちゃん止めて!

助六にナイフを刺すさや。

さや
死んでよー、死になさいよー。(半泣き)だって、だって、私は、私はー、

助六
・・・・・さや、ごめんな。オレが情けないばっかりに。

さや
何言ってんのよ!

助六
さや、俺だ。今のこのオトコの中身は、俺なんだってば。ベイベーわかんねぇのか?オレの、ハートは・・・、

さや
ホットだぜ・・・・・・バベル?

助六
俺はよぉ、もう死んでんだ。さやを守りたいという意識が助六の体を借りてるだけなんだ。聞いてくれ、さや。さやには、さやの時間がもう流れている。オレはもういない。今を生きてくれ。

さや
バ、バベル・・・・私ね、私ね、ど、どうすればいいかわからなかったの。いきなり一人になっちゃって。いっぱい借金取り来て、バベルが死んじゃって。

助六
死ぬことは、全て偶然なんだ。誰のせいでもない。誰を恨んでもしょうがない。運悪く、偶然死んだだけ。もう、コレは、どうしようもない。

さや
バベル・・・バベルゥ・・・・。

助六
今のオレは、それを伝えたいだけの意識のかたまりだ。ごめんな、さや。さやは、生きて。これからも、生きて・・・・。さやには、さやの時間が待ってる・・・・・。音々さん、あんたにも一言いっておく。

音々
何?

助六
こいつの脳はかすかだけど生きている。ねむっちまっただけだ。ちゃんと中には意識が詰まってる。スケはちゃんと生きてるんだ。

音々
・・・・ホント?

助六
だから、待っててやってくれ。あいつは寂しがり屋なんだ。あんたがどんなに変わっちまっても構わない。頼むから待っててやってくれ。

音々
うん、・・・・わかった。

助六
さや、俺はもう消えるよ。俺の意識もココまでだ。

さや
バベル、いや・・・。

助六
さや・・・・・。

さや
バベル・・・・何?

助六
・・・・・・。

微笑みながら倒れる助六。

さや
!--------(声にならない叫び)。

倒れるさやさや。

音々
さやちゃん!(さやを受け止める)

-----暗転

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