No.003
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Scene09

手 術


「手術中」のライトが点灯。

音楽。
〜 [ BREATHE ] by prodigy 〜

コレにあわせて手術が進行していく。


看護婦
先生、患者は危篤状態です。緊急手術をしなくてはいけません!

医師
それはわかってる。し、しかし、ダメだ!手がふるえて仕方ない!!

看護婦
何を言っているんですか!

医師
しかし、昔の失敗のトラウマが、私からメスを奪うんだよ。

看護婦
大丈夫!!先生ならできる!

医師
あぁ、神様・仏様・お天道様、我に力を与えたまえー。

看護婦
先生、こういう時はアレよ。

医師
アレ?

看護婦
私たちの、二人の奏でるハーモニー!

医師
・・・・・そうか!ミュージーック!!

音楽と共に盛り上がる。

2人
しゅっしゅっしゅっしゅっ、しゅじゅちゅ!しゅじゅちゅ!
しゅっしゅっしゅっしゅっ、しゅじゅちゅ!しゅじゅちゅ!
しゅっしゅっしゅっしゅっ、しゅじゅちゅ!しゅじゅちゅ!
しゅじゅちゅ、しゅじゅちゅ、しゅじゅちゅちゅちゅ!

医師
力がみなぎってきた!行くぜ天才外科医の血がさわぐー!!

孤独に音読、るんるんるるんぶ、るるんぶるるん。

看護婦
「河童とカエル」を孤独に音読。

医師
るんるんるるんぶ、るるんぶるるん。

看護婦
つんつんつるんぶ、つるんぶつるん!

2人
全然まったく、全然イミ無し!

医師
まずはショー毒!

看護婦
はい、ショー毒!

2人
きゅっきゅっきゅきゅっ!きゅきゅっきゅ、おっけー♪

医師
次はおちゅーしゃ。

看護婦
麻酔をえいっ!

医師
こっちもえいっ!

看護婦
えいっ。

医師
えいっ。

看護婦
えいっ。

医師
えいっ。

2人
おっけー♪

医師
いくぜメス!いよいよメス!切ーって切って、ざっくざく!

看護婦
研ぎ立てぴかぴかのメス!

医師
それではー、患者への入刀を始めます!

看護婦
いやーん、私たちの初めての共同作業ね!

医師
さぁ、始めよう!

看護婦
はい♪

2人
ぶっすり。ざっくり。さっくり。きっちり!

医師
ガ〜ァゼ!

看護婦
ガ〜ゼ!

医師
鉗子(かんし)!

看護婦
鉗子!

医師
またまたガーゼ!

看護婦
またまたガーゼ!

医師
よいしょ、

看護婦
えいさ、

医師
ほらほら、

看護婦
どっこい、

と、どんどん進行する手術。

バベルが現れる。


バベル
よぉーう、どうしたー?もう死ぬのか?

助六
バベル・・・。なぁ、今のオレは何なんだ?寿助六は、もういないのか?誰の、意識にも残っていないのか?もう、すでに死んだ人間なのか?

バベル
何言ってんだ、今現在そこでギリギリでも生きてんじゃねぇか。

助六
だからって、オレがいなくなってから、どうなってんだ、みんな、かわっちまって、オレ、全てから取り残されてるみたいだ。

バベル
それが、どうしたって言うんだよ。そりゃ、一人だけずっと寝てりゃ取り残されてあたりまえだろ。

助六
自分の目標も、生活も女も全部失って、どうやって、生きられるんだよ。

バベル
体がありゃ生きられんじゃねぇの!?

助六
体なんて、いらねぇよ。

バベル
・・・・!(無言で殴る)

助六
何すんだよぉ。

バベル
ソーリー、なんか、思わず。

助六
何?思わず?俺がうだうだ言ってるからむかついたってか?

バベル
いや、そんなんじゃないんだけどさぁ。

助六
オレにどうしろって言うんだよ。今目覚めたって、誰も待ってやしない!オレには家族も身内もねえんだ!施設で育って、中卒から修行して、やっと屋台持って、オレの人生歩み始めたのに、全部パァだ。一体、どうしろって言うんだよ!!

バベル
全部失っただぁ?全部失ったってのは、オレみたいに、なってから言いな!

殴ってその場を去るバベル。

助六
・・・・オレには、何も残っていない。家族も金も無い生活から、ココまでやってきたのに。誰も、待っていない。誰も、信用なんて、出来ない。みんな、そうだ。時間が経てば、オレのコトなん忘れちまう。 親も、友達だって、彼女だって、・・・・みんな、オレのことを忘れて、勝手に今を生きていくんだ。どんなに、オレががんばっても、どんなにオレががんばっても、誰も、認めてくれない。どうして?・・・・どうして??オレは何か悪いことをしたのか?みんな変わる、みんな変わる、あっという間に変わっちゃう。いい加減に、いい加減に、誰もが、自分が大事で、他人のコトなんて、いい加減で、どうでもよくて、どうでも・・・オレのことなんてどうでもいいのかぁぁぁぁぁ!!!

医師
まずい!脳波が乱れている!

看護婦
先生!脈も乱れています!

医師
SHIT!どうにかならんか。生きてくれ、生き返ってくれ!

助六
オレが生きてなんになる?もうイヤだ!イヤなんだ!

看護婦
お願い!生きて!生きてちょうだい!

助六
何で!何であんたがそんなコトを言うんだ!

看護婦
先生の為よ。先生に立ち直って欲しいのよ。

助六
え!?

医師
そうだ、私のプライドのためだ。

看護婦
そうよ。あなたじゃなくても誰でもいいのよ。

助六
誰でもいい?

医師
そうだよ。いい加減、早く生きかえりなさい。

看護婦
あなたは迷惑しか、かけられないの?

医師
ほんっと、役に立たないヤツだ。

看護婦
こりゃ死んでも仕方がないわね。

医師
誰もかなしまんさ。

看護婦
勝手に生まれて。

医師
勝手に死んで。ただそれだけのことさ。

助六
ずっとオレは、何のために一人で生きてきたんだ・・・・。

看護婦
一人で生きてですって。なーに言ってんのかしら。

医師
馬鹿だな、こいつは。

看護婦
ほんっと、馬鹿ね。

医師
ドコに一人で生きられる人間がいるんだ。

看護婦
施設の先生達に悪いと思わないの?

助六
先生・・・・。

医師
ラーメン屋の師匠に何とも思わないの?

助六
師匠・・・。

医&看
コレだから、馬鹿はしょうがないわねぇ。死んでもなおんないわこりゃ。

助六
オレは、オレは・・・・馬鹿は、馬鹿なりにがんばってきたんだ・・・・。でも、もう、オレいいや・・・・。

看護婦
大変!血圧下がってるわ!

医師
何とかしろ!何としてでも生かすんだ!私の命にかけて!

看護婦
先生、がんばって!

助六
・・・・・勝手にしろよ。

待合室の音々。

音々
・・・私は、あなたを忘れようとしてた。毎日の生活の中でどんどんあなたが過去になっていって、新しいコトがどんどんと押し寄せてきて。あなたのコトを忘れて、忘れてしまって、思い出も大切な物と一緒に捨ててしまって。私は・・・・時間に流されてた。いろんなコトがんばって乗り切ろうって、思ったけど、私はそんなに強くないから。ごめんね。何が何だかよくわからなくなってきて。私、あなたが倒れてから、もう、どうにもならないって言われてから、ずっと寂しかった。寂しくて寂しくて仕方がなかった。あなたの知っている望月音々はもう待っていない。
でも、・・・・・今の私は、あなたを待ってる。あなたのコトを待っているの。

音々の前に立つ助六。

音々
ごめんね、スケ。死なないで、死なないで・・・。お願いだから、死なないで。お願いだから・・・。

助六
何だよ、今頃。

音々
-------スケ!

助六
もう、どうだっていいんだろ。オレのこと何か。

音々
ごめんなさい、・・・わ、私、イロイロあって、それで・・・・

助六
それで、仕方が無いっていうのかよ!

音々
仕方が・・・・・無かったの!どうしたらいいかわからなかったんだもん。突然、スケが意識不明になっちゃって。助からないって言われて。

助六
そう、・・・・今の音々さんには、今の生活がある。何となくわかった。オレ、今の音々さんには必要無いよ。

音々
そんなこと無い!

助六
・・・・。

音々
そんなこと無い!!私には、やっぱりスケが必要なの!

助六
自分勝手に、誰かを頼ろうとするなよ!オレがいなけりゃいないで、あの子を頼るだけだろ!! ・・・・・・・音々さん、サヨナラ。

音々
スケェェェェ!!!!

その場を去る助六。

医師
ダメだ!心臓が停止した!

看護婦
大丈夫!私が復活させる!

医師
もうダメだ。これ以上は無駄だ!

看護婦
そんなこと無い。先生、あきらめないで!

医師
また、人を死なせてしまう・・・人を死なせてしまう・・・・・。

看護婦
先生!しっかり!!

-----暗転





【 オレに生きる意味はあるのか? 】







【 無 い 】













【 人は一人で生きていけるのか? 】








【 無 理 だ 】



















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