No.003
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Scene03

目覚め


看護婦が現れる。(鼻歌交じり)
ベッドの上のモノを観察している。適当に色々メモっている。


助六
これで、今日2回目だ。あぁ、あいつ、またやるつもりだよ。

看護婦
・・・・・おらぁっ、起きろぉっ。(ベッドにエルボー)

助六
うっ(痛がる)、・・・・ひどい。

看護婦
今日もダメねぇ。3ヶ月も私のショック療法続けてんだから起きてもいいはずなんだけど。はーぁ、早くこのベッドあかねーかなー。

助六
えぇ!ちょっと!!

看護婦
あれ?・・・・脳波がマトモになってる。大変、私のショック療法成功しちゃった!?せんせーいちょっと来てくださーい。!!

部屋を去る看護婦。

助六
微妙に実感わいてきたな。・・・・俺、どうなんのかな。

後ろにバベルが立っている。

バベル
こんちわぁ。

助六
あ、ども。多分しばらく前から入院してます、寿助六と言います。

バベル
あ、俺バベル、近未来的にメジャーでビッグなバンドで、ベース&ボーカルやってる長身な次男。ヨロシクぅー。

助六
・・・えーと、オレ、半絶望的に将来に不安抱えた寿ラーメンって屋台やってるみなしごです。まいどよろしくー。

バベル
オレが言うのも何だけどさぁ、やめろよなぁ、そういう被害妄想持つの。カッコわるい。

助六
そう言われてもさぁ・・・・!?あれ、み、見えるの?

バベル
何だよ見えるって。

助六
だって、だって、ホラ、さっきの看護婦ずっとオレのコト無視してんだよ。こりゃアレだろ、オレの体がそこにあって、こう、魂だけ抜け出ちゃったんじゃねぇの?

バベル
はっはぁー。おまえ、今、幽体離脱してるとか思ってんだろ。

助六
そうそう、それ!違うの?

バベル
あたり。

助六
えぇ!?

バベル
うん、多分そう。

助六
何で?

バベル
覚えてないの?

助六
え?・・・・・ないないない。っていうか、オレ何でこんなんなっちゃってるの!?

バベル
知るかよぉ、お前のことなんか。

助六
あれ、ちょっとまって、あなたはだあれ?

バベル
だから、バベルだってばよぉ。

助六
いや、そうじゃなくてさ、今、オレ幽体離脱してるんだよな。

バベル
多分な。

助六
じゃあ、あなたもそうなの?

バベル
いや、それがさぁ、オレの場合、体がみつかんないんだよねぇ。

助六
無いの?

バベル
無い。くれる?

助六
ダメダメダメ。それやっちゃエライことになる気がするから。

バベル
そう?ケチ。

助六
じゃさ、ひょっとして、本格的な幽霊じゃないの?

バベル
えぇ!?ウソ誰が!?

助六
・・・・。(バベルを指さす)

バベル
えぇぇぇ!!やだ!そんなの!!

助六
ちょっと、オレによるなお化け!

バベル
お化け!?そんなこと言うならお前だってそうだろ!

助六
違う!オレそこに体あるもん。

バベル
なら俺がもらってやる。

助六
はぁ?

バベル
ずっとそこでいじいじイジケテろ!

ベッド上の助六の体に入ろうとするバベル。
それを阻止しようとする助六。

そこへ医者と看護婦が帰ってくる。


医師
いったいどうしたんだよ、カルメンちゃん。

看護婦
ほら先生、見てください、ココ!

医師
何かある?ピコーンピコーンってなってるだけだろ。ん?な!脳波が正常に戻ってる!!・・・・植物状態になって3ヶ月、しぶとく待った甲斐があったなぁ。カルメンちゃん。

看護婦
はい、毎日きれいにウンコふいてあげた甲斐がありました。

医師
ほんとだ、君は看護婦の鏡だよ。よくぞ3ヶ月も耐えたもんだ。

看護婦
看護婦として当然の事をしたまでです。実は先生、私、先生に無断で私が考案した治療法をこの患者に行っていました。

医師
ほほーぅ、それはどんなことなんだい?

看護婦
カルメン式ショック療法です。

医師
ショック療法。・・・・無理矢理チューでもしたのかね。

看護婦
何言ってるんですか、そんなコトしたら患者が昇天しちゃいます!こうするんです。

ベッドに向かってエルボーをかます。

助六
うっ!痛い。

医師
・・・・それがカルメンちゃんのショック療法・・・・。

看護婦
はい!でも、無断でやってごめんなさい。

医師
・・・・・・今度医師学会に申請しよう。

看護婦
お願いします!世界に広めて私は有名人アーンドお金持ち!になるんです。

医師
お金持ち!?医者なのに善意たっぷりでお金全然取らないという違法な医療行為してる逆ブラックジャックの私からは何とも縁遠い言葉だ!そうか、コレでこの病院も安泰だ!

看護婦
何言ってんですか?私、お金もって実家に帰ります。

医師
え?カルメンちゃん帰っちゃうの。

看護婦
だって、先生、全然、結婚してくれないし・・・・。

医師
いや、そ、それは・・・・。

看護婦
田舎に一人でパピーを残してるんです。私が三十路になる前に結婚するのを楽しみにしてるんです。

医師
そうか、それなら私がマスオさんになろう!

看護婦
え?いいんですか、私の田舎、島ですよ。本土から遠く離れた島ですよ。

医師
島?それもいいだろう。そういうところで、私はのんびり医療奉仕をしたかった。こんな親父の病院は誰かにうっぱらうよ。

看護婦
ダメですよ、こんな立派な由緒ある病院を売るだなんて。

医師
しかし君は、いずれその父親のいる島に帰らなきゃいけないんだろう。それなら私が君についていく、それまでのことさ!

看護婦
先生!

医師
改めて言おう、カルメンちゃん、私を夫にして下さい。

看護婦
いやーん、なんて情けないこ・く・は・く。私、お断りします。

医師
えぇ!?どうして!

看護婦
私、この仕事してて、思ったんです。医者とだけは結婚するまい、と。

医師
医者はそんなにイヤかい?女なら、誰だって、一度は「おっ」と惹かれる職業だと思うんだが。

看護婦
そこがイヤなの。金さえあれば、女が何とかなるなんて思っているところが。でも、先生は、そのお金すらないじゃない。

医師
くー、痛い、痛すぎる。

看護婦
でもね、先生。私、その先生の、貧乏な人からはお金も取らずに違法医療行為するところ、スキですよ。だから今まで一人婦長でも、ついてこれたんです。

医師
そうか、今までありがとう、カルメンちゃん。

看護婦
先生、私が、結婚してあげる。

医師
え?本当かい?

看護婦
えぇ!もちろん♪

医師
やったー。じゃ、早速カルメン式ショック療法を申請しよう。

看護婦
そうしましょー♪

その場から去る二人。

助六
大丈夫か、この病院・・・・。

バベル
さぁ・・・。

-----暗転

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