No.001
[ m.]


Episode03

memory(シンとサヤカ)


シンのケータイにコール音。

サヤカ
だぁれ?

シン
(ケータイを手に取り)え?わかんない。非通知だよ。

サヤカ
出ないの?

シン
出るよ。・・・・・・もしもし?え?あ、あのどなたですか?番号が非通知だったモノで。

サヤカ
あー、女のコエだ。

シン
ちょっと。知らない人だよ。

サヤカ
何で知らない女の人から電話がかかってくるの?

シン
・・・・長谷川さんですか。は、はじめまして。私は小見田シンって言います。

サヤカ
何であいさつしてんの?

シン
え?あ、はい。・・・・・そうですか。困ってたんですよ。ありがとうございます。

サヤカ
何なのぉー?

シン
ちょっと、静かにしてよ。カバンを拾ってくれた人からだよ。

サヤカ
え?カバン?

シン
えーと、そうですねぇ。どうやって受け取りましょう?

サヤカ
何?逢うの?女のヒトと??

シン
逢わなきゃもらえないだろ。

サヤカ
あやしいー。

シン
あの、どちらに住んでるんですか?・・・・南区ですか。私は緑区です。

サヤカ
なんかテレクラみたいになってない?

シン
あの、私車の免許がなくって、いや、持ってるんですが一時的に取り上げられてて。

サヤカ
ドライブは止めた方がいいよ!事故るもん、この人。危ないよぉー。

シン
やめてよ。・・・・もしもし?あの、仕事の書類もたくさん入ってるんで、出来たら今日にでも頂きたいのですが。

サヤカ
なに?今から逢うつもり。

シン
早いほうがイイだろ。

サヤカ
シンって意外に手が早いのよねー。さいあくー。

シン
・・・・喫茶店ですか。えーっと、じゃあ、コメダでいいですか?

サヤカ
そこって私と最初のデートに待ち合わせしたトコでしょ。いっつも女のヒトと逢うときソコ使ってんの?

シン
え?全身黒タイツ?

サヤカ
え?ナニ?全身黒タイツって。シンが着るの?その人が着てくるの?え?変態?

シン
え?あ、はぁ。わかりました。見つければいいんですね。・・・・1時間後に。じゃあ、お手数掛けますがよろしくお願いします。

ケータイを切る。

シン
ちょっと、となりでうるさいよぉ。

サヤカ
なによぉー。楽しそうにしゃべっちゃって。

シン
どこが楽しそうなんだよ。

サヤカ
ちょっと、期待してるでしょ。

シン
何を?

サヤカ
今の女の人。

シン
何にも思っちゃいないよ。でも良かったなぁ。スグに見つかって。

サヤカ
良かったねぇ。親切な女のヒトに拾われて。コレに懲りたらボーっと立ちションしてんじゃないよぉ。

シン
何で知ってんの?

サヤカ
私、シンのコト、いつでも見てるんだから。ふふふ。

シン
・・・・・なんか、微妙にストーカーっぽい。

サヤカ
なーに?やましいことでもあるの?

シン
ないよ。オレは一途だ。

サヤカ
私ね、ずっと見ててあげてるの、シンのコト。シンがドコにいたって、私ふよふよ空も飛べるし、いつでも、どこかで見てるからね。

シン
・・・・ありがと。

サヤカ
前は全然見てなかったんだけどね。

シン
やっぱり。

サヤカ
仕方がないよ。仕事とか忙しかったしね。それで、多分、忙しくて興味がなくなっちゃってたんだと思う。でも、今は違うからね。

シン
そう。

サヤカ
ねぇ、いつも見てて思うんだよね。

シン
何?

サヤカ
そんなに、気にしないでよ。

シン
サヤカのこと?

サヤカ
そう。

シン
そう言われても。

サヤカ
病室でいっつも泣くのヤメテよ。私、恥ずかしいんだから。

シン
ゴメン。

サヤカ
でも、シンってさ、いつも悲しいって言うより・・・・

シン
言うより?

サヤカ
後悔してるって感じがする。

シン
・・・・・そりゃあ、罪の意識を感じてる。

サヤカ
罪?

シン
自分だけ助かって、サヤカや、サヤカの両親にも申し訳なくて。どうしようもなく、後悔してる。

サヤカ
そう。でも、誰もシンを責めたりしないから。

シン
ありがとう。カバン、とってくるよ。

サヤカ
いってらっしゃい。たまには浮気していいよ。

シン
するわけないだろっ。

出ていくシン。--------暗転

舞台上にイスが2つ。

一つにマチコがカバンを持って座っている。
シンが入ってくる。


シン
あの、長谷川さんですね。私、小見田です。

マチコ
あ、こんばんわ。コレ。

シン
ありがとうございます。わざわざすいません。

マチコ
中、一応確かめてください。

シン
え?あ、はい。・・・・・・・大丈夫みたいです。

マチコ
これ、盗まれたんですよね。

シン
そうなんですよ。ボーっとしてたら、持ってかれちゃって。参りましたよ。

マチコ
盗んだの、妹なんです。

シン
え?

マチコ
それ、盗んだの妹なんですよ。でも、中のモノ何にも盗ってないし、開けてもいないんで、警察には言わないでください。妹も悪気はなかったんで。

シン
・・・・はぁ、わかりました。まぁ、戻ってこれば、私はそれでいいので。

マチコ
もうさせないんで。

シン
はい。お願いします。

マチコ
お詫びに、占いしましょうか?

シン
占い?手相とかタロットとかですか?

マチコ
いや、コレです。

シン
・・・何が占えるんですか。

マチコ
何でも出来ますよ。

シン
・・・・じゃあ、私の未来を。

マチコ
いいですよ。一枚、取ってください。

シン
それでわかるんですか?

マチコ
えぇ。もちろん。

シン
じゃあ、コレ。

マチコ
--------苦しんでますね、今。

シン
え?

マチコ
深い後悔をしている。罪の意識を持っている。過去の過ちに取り憑かれている。でしょ。

シン
え?・・・近いモノはありますね。

マチコ
心配事は解決します。良くも悪くも小見田さんは解放されますよ。

シン
本当ですか?

マチコ
えぇ。良くも悪くも。

シン
良くも悪くもって、どういうイミですか?

マチコ
そのままですよ。

シン
そうですか。スゴイですね。トランプでソコまでわかるなんて。お店出せますよ。

マチコ
え?そうかな。

シン
えぇ。じゃ、これありがとうございました。(と言って立ち去る)

マチコ
そっか、これで商売か。それもいいかなぁ。占ってみよっと。

--------暗転。

Scene03-3へ


※無断転載、無断複写を固く禁じます。上演許可申請の際はお問い合せよりメールを下さい。

上へ戻る
目次へ戻る
台本一覧へ戻る
TOPへ戻る

fuzzy m. Arts